dyson-omni-glideをやめといたほうがいい人
2021年4月7日にダイソンはヘッドが宙に浮いているかのような感覚で掃除ができる全駆動方向のコードレスクリーナー(Dyson Omni-glide)を発売した。
筆者は発売日にOmni-glideを自腹で購入。毎日使い続けてはや一ヶ月が経過したので、毎日使って分かったOmni-glideの欠点や解決策をまとめてみた。
カーペットに対応していない
Dyson Omni-glideの新製品発表会ライブ配信では、モップのように縦横無尽に動き回るクリーナーヘッドは視聴者の目を楽しませてくれたが、その前後左右あらゆる方向へ、氷の上を滑るような操作はフローリングのようなフラットな床面でしかお披露目されなかった。
このため、Omni-glideでカーペットを掃除できるのか疑問を抱いた人も多いのではなかろうか?筆者もそのひとりで真っ先にOmni-glideで絨毯を掃除をしてみたのだが、残念ながらフローリングで感じた浮遊感は絨毯の上では感じられず、回転ブラシは停止してしまった。
毛足の短い絨毯でも回転ブラシは大きく減速or停止するため、カーペットを敷いている面積が広い家では不向きである。Omni-glideが向いている床材はフローリングや畳やタイルのようなフラットな床面が多い家となる。ただし、カーペットを敷いている面積が狭い場合は、下記の方法で解決するかもしれない。
解決策
オムニグライドに付属されている布団やソファーの掃除に最適なミニモーターヘッドでカーペットをしっかり掃除することができます。ただし、ヘッド吸込口の幅が狭いため、カーペットを敷いている面積が広い場合は不向きです。
その他にカーペットの毛足が短い場合、ヘッドを後ろに引く動作だと回転ブラシは停止しにくいです。また、回転ブラシに負荷のかからない持ち方をマスターすればヘッドを押す動作でも回転ブラシを停止させることなく掃除をすることも可能です。
ハンドルのグリップ力が低い
これまでの掃除機では難しい横方向や斜め方向の移動が可能になり、ヘッドを好きな場所に移動させることができるようになったものの、ハンドルは他のどのモデルより太いうえ、滑り止め防止のラバーグリップも採用されていないため、特にヘッドを左右・斜めに移動させたときに、ハンドルをしっかり手で握る必要があった。
Omni-glideはすべての重たいパーツが直線的に配置されたことで、掃除機本体の重さが手にかかる負担は大きく低減されたものの、長時間掃除をしたり、ハンドルを縦横無尽に移動させていると、握力が弱い女性や年配者には辛いかもしれない。Omni-glideのハンドルの太さは日本刀の柄より太く、男性の筆者でも少し持ちにくいと感じるほど。
解決策
ハンドルを手に合わせて細くすることはできませんが、テニスラケット用のグリップテープをハンドルに巻きつけることで、グリップ力が向上させることができました。グリップテープを巻いてグリップ力を向上させると、強く握らなくても手から滑りにくくなるので、握力が弱い人や、手の乾燥や多汗による滑り止めとしてもおすすめです。
集じん容量が小さい
Dyson Omni-glideは軽い操作性を重視した軽量タイプのため、少し気になるのは小ぶりなダストカップ。ゴミを溜められる集じん容量は0.2Lと小さいため、筆者の家は6帖×4部屋だが、家中を一度に掃除しようとすると、一回の掃除でゴミが一杯になり毎日ゴミ捨てを行う必要があった。また、家では長毛種の猫を飼っているため、換毛期に入った現在では掃除の途中でゴミ捨てにいく必要があることも。
解決策
集じん容量を大きくする方法はないので、こまめにゴミを捨てるしかありません。ダイソンのゴミ捨ては簡単に行えるので、個人的にそれほど苦ではありませんが、一度にゴミを吸う量が多い場合は集じん容量が大きいV7/V8/V10/V11のほうがおすすめです(各モデルのゴミ捨て動画はこちらからどうぞ)。
サイクロンのメンテナンス性が悪い(水洗いできない)
Dyson Omni-glideの集じん方式は空気とゴミを遠心分離するサイクロン方式が採用されている。同じ2段サイクロン構造を採用している東芝のトルネオVコードレスは、ダストカップもサイクロンも本体から取り外して水洗いすることができるため、排気の臭いも気になっても丸洗いすればクリーンな排気になる。
一方、ダイソンはサイクロンを本体から取り外すことができないため、丸洗いすることができずメンテナンス性が低い。Omni-glideにはキレイな空気を排出するポストモーターフィルターが採用されているが、長く使っているとサイクロンに臭いの原因となる粉塵が大量に付着するので、フィルターを水洗いしても排気が臭くなってくることがある。
解決策
Dyson Omni-glideを分解するには特殊な工具が必要なうえ、工具があっても分解するのは素人では困難です。また、分解することができても、定期的に分解して組み立てるのは手間です。そこでおすすめなのが、2000~3000円で販売されているコード式のブロワーです。ブロワーは強い風を起こすことができるので、内部に付着した臭いの原因となる粉塵を吹き飛ばすことができます。
ハンディクリーナーとして使いにくいシーンがある
従来機の本体はクリアビンとサイクロンのみが直線的に配置されたため、ピストルのようなフォルムをしていた。このため、ハンドルの上下にあるモーターやバッテリーの重さが手にずっしりと伝わっていた。
一方のOmni-glideはハンドルとバッテリーも直線的に配置したため、スティック状のフォルムに変更された。このため、スティックタイプとして使用した場合、手にかかる本体重量の負担が大きく低減された。
しかし、ハンディクリーナーとして使用した場合、ハンドルを含めた本体全長が長くなったことで、立ちながら高い場所を掃除したり、立ちながら低い場所を除いたシーンでは使い勝手が悪く感じようになった。
例えば、よくハンディ状態で掃除をする卓上・棚・布団・ソファなどの掃除は従来の形状ほうが掃除がしやすい。また、Omni-glide用の延長ホースがないため、車内のシート下のような狭い場所の掃除でも使い勝手が悪くなる。
解決策
解決策は残念ながらありません。ハンディクリーナーとして使用する用途が多い場合は、フォルムがガンタイプの「Micro 1.5kg」や「 Digital Slim」のほうが使い勝手がいいです。前者は軽量タイプ、後者はパワフルで軽量タイプです。ちなみにMicro 1.5kg用の延長ホースも販売されていません。
ガンタイプのダイソンよりフィルターが目詰まりしやすい
ダイソンの掃除機は空気とゴミを遠心分離力が高いため、半年ほどフィルターのお手入れをしなくても、フィルターはキレイなままで強い吸引力が持続していた。フィルターの存在を忘れるほど空気とゴミの遠心分離能力が高かった。
しかし、クリアビンとサイクロン部分が直線的に配置されたV10以降のシリーズからフィルターが目詰まりしやすくなり、毎日掃除をするメイン機として使用した場合、一ヶ月ほどでフィルターが目に見えて汚れるようになったのだ。
Omni-glideもクリアビンとサイクロン部分のレイアウトを縦向きに変更した設計は踏襲されており、目詰まりしやすくなったフィルターは改善されていない。上動画は20日目のフィルターだが、綿埃や猫の毛が表面に付着しているだけでなく、深部に塵が入り込んで目詰まりしている状態。
解決策
交換用バッテリーが割高
全方向駆動 | 最も軽量 | 軽量でパワフル | 最もパワフル |
Omni-glide | Micro 1.5kg | Digital Slim | V11 |
14.4V/2,500mAh | 14.4V/2,500mAh | 18V/2,500mAh | 25.2V/2,600mAh |
13,200円 | 8,800円 | 12,100円 | 13,200円 |
基本的にコードレスクリーナーはバッテリーの電圧が高いモデルのほうが吸引力やスタミナが高い。バッテリーの電圧が同じ場合は、容量が大きいほうがスタミナが高くなる。
高電圧のバッテリーを搭載しているモデルのほうが、使用されているセルの数が多く、基礎的なスペックも高くなるので、交換用バッテリーの価格が上がることはうなずける。
しかし、Omni-glideのバッテリーは電圧が14.4Vで大容量なわけでもないのに、フラッグシップ機に採用されている格上の25.2Vバッテリーと価格が同じなうえ、同じ電圧と容量のバッテリーが採用されているMicro 1.5kgの交換バッテリーよりも4,400円も高いことを考えるとかなり割高に感じる。
社外品となる互換バッテリーが販売されれば、純正バッテリーより割安となりますが、発火事故が多発していて危険なのでおすすめできません。上記のページに各モデルのバッテリーの価格が掲載されているので、消耗品の価格を重視する場合は交換バッテリーが割安なモデルをおすすめします。ちなみにDigital SlimやV11の一部のモデルにはOmni-glideと同じワンタッチで取り外せる着脱式バッテリーが採用されています。
本体価格が割高
ダイソンは消費者の機能的/情緒的なベネフィットを考えながら、商品開発とマーケティングを行っているため、価格は買い求めにくい設定であるものの、ブランド力が高いメーカーなので、高額でも掃除機を売ることができる。
ダイソンと同じ製品を低価格帯の家電を販売しているアイリスオーヤマが同じ価格で販売していも、恐らく売上数に差がでるだろう。そう考えると、ダイソンは消費者に機能的価値だけでなく、情緒的価値や自己表現的価値を提供しているメーカーと言える。
人は誰しも他人に認められたり、自分自身を認めたい承認欲求を持っているため、ファッションや車やスマートホンのように、生活家電にステータスを求める人がいてもおかしいとは思わない。ただ、実用的な機能面だけをみると、Omni-glideは高額な割に機能や仕様がいまいちなモデルと言える。
まだ、カーペットで回転ブラシが停止しなかったり、高電圧バッテリーを搭載していたり、V11やDigital Slimが搭載している液晶ディスプレイを採用していれば不満も少なく済んだだろうが、これまで紹介したデメリットを考えると、筆者が購入した69,300円のDyson Omni-glide™ Complete+ (SV19 OF COM)は割高に感じる。
解決策
残念ながら解決策はありませんが、まだ発売されて間もないので、少し待てば実勢価格は下がると思います。Omni-glideが前身となる全方向駆動のモデルが新発売されれば、価格は大きく下がるかもしれませんが、まだ先は長そうです。同社の割安な軽量タイプであれば、セール時の「V7 Slim」や「V8 Slim」がおすすめです。比較的新しいモデルですと、「Micro 1.5kg」や「 Digital Slim」がおすすめですが、現在も買い求めやすいとは言えない価格です。
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メーカー各社の製品が特価で発売されれば当サイトのツイッターアカウントでお知らせしますので、経済的にダイソンなどのクリーナーを購入したい場合はフォローして頂けると幸いです。
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