マイクロスコープで表面を見たら不安になるフィルターはどれ?
排気をクリーンにすると得られる3つのメリット
- アレルギー症状がでなくなる(アレルギー体質の人限定)
- 作業環境に配慮したクリーンな排気を排出
- 本体に侵入した粉じんのお手入れ頻度が激変

プレフィルター
目詰まりしやすい
プレフィルターは後述する不織布のフィルターの外側に配置するフィルタ。表面は規則正しい網目になっており、網目の隙間は肉眼でも確認できるほど広いため、微細なゴミは網目をなんなく通り抜けられる。ただし、プレフィルターは大きなゴミを捕らえる目的のため、付着したゴミを簡単に除去できる網目のほうが最適なのだろう。
マキタとハイコーキのプレフィルターは同じに見えるので比較は行っていないが、マキタのプレフィルターは前側も網目になっているのに対し、ハイコーキのものは前側が樹脂で覆われている。フィルターは同じ素材だった場合、表面積が広いほうが吸引力が低下しにくいため、マキタのほうが若干吸引力は強くなるかもしれない?
フィルター(不織布)
目詰まりしやすい
プレフィルターの内側に配置する白いフィルターは不織布になっており、生地は繊維を織らずにランダムに絡み合わせたシート状になっていた。肉眼では微細なゴミもキャッチできる生地に見えるかもしれないが、マイクロスコープで拡大して見ると超微細なハウスダストが簡単に侵入できるような隙間だらけになっていた。
不織布のフィルターだと浮遊するような粉じんが深部に入り込めるような隙間があるため、目詰まりしたゴミをブラシなどで掃いても除去することが難しい。水洗いしないと綺麗にすることができないうえ、すぐに目詰まりして吸引力が低下してしまうため、ものぐさな筆者は定期的な水洗いにうんざりしてくる。
マキタのハイコーキの不織布の素材は同じだが、マキタのほうが若干分厚く感じる。ハイコーキのものは薄くて硬い感じ。集塵捕集効率の差は不明だが、どちらもハウスダストからするとザルいフィルターなのは間違いない。
ハイコーキ-フィルタ(B)濾布
目詰まりしやすい
黒い濾布製のフィルタ(B)はハイコーキのR18DBやR36DA用の一段サイクロン式ユニットに採用されている外側のフィルターである。
前述した白い不織布のフィルターと同じように繊維を織らずに組み合わせたシート状になっており、スコープで除くと広い隙間が無数に存在していた。色が黒くなったようにしか見えない。
この隙間に微細なゴミが入り込んだり、繊維に猫の毛が絡みつくと、ブラシでは除去することが難しいため、面倒な水洗いでしか除去することができない。このため、取り外して使用している。
マキタ-紙パック
目詰まりしやすい
以前は不織布のフィルターより、紙パックのほうが集塵捕集効率が高いと思っていたが、マイクロスコープで拡大してみると、不織布と同じように、超微細なハウスダストは簡単に通りぬけられそうな大きな隙間が無数に存在していた。マキタによると前述した不織布のフィルターと紙パックの集塵捕集効率は同等のようである。
現在はマキタからカプセルモデルに対応したHEPAフィルターが販売されているため、カプセル機の場合は掃除機の排気をクリーンにすることができるが、紙パック式のモデルはHEPAフィルターを装着できないため、あとから排気性能を向上させることはできない。
マキタ-高機能フィルターEX
高機能フィルターは不織布のフィルター紙パックと違い、繊維が細かく織り込まれていた。また、拡大して見ても不織布や紙パックのような広い隙間がないため、集塵捕集効率は不織布や紙パックよりも上だろう。実際にマキタが開示している集塵捕集効率はと高機能フィルターのほうが従来のフィルターより向上している。
ただし、使い古した高機能フィルターには生地の織り目が開いている目寄れが発生しており、この隙間から微細な粉じんが通り抜けられそうなため、生地表面がくたびれた感じがする場合は新しいものに交換したほうがよいだろう。目寄れしないように、メンテナンスする際も硬いブラシでこすったり、掃除機で吸引するのは避けたほうがよさそうだ。
ハイコーキ-ハイクリーンフィルター
ハイコーキのハイクリーンフィルターもマキタの高機能フィルターと同じように繊維が細かく織り込まれており、不織布や紙パックのような隙間は見られなかった。フィルターにゴミは付着するが、目詰まりするような広い隙間がないため、フィルター表面に付着したゴミはブラシで除去しやすい。
ただし、マキタの高機能フィルターと網み目を比べると、繊維1本1本の太さは同じに見えるが、織り目の幅はマキタの高機能フィルターのほうが狭くなっているようだ。このため、フィルター表面に付着したゴミはマキタのほうが除去しやすく感じる。
生地の厚みはハイコーキのほうが若干厚く、耐久性はマキタの高機能フィルターより高いのかもしれない?
ハイコーキ-フィルタ(A)
ハイコーキ-フィルタ(A)は、R18DBやR36DA用の1段サイクロン式ユニットに採用されているフィルターである。前述した目詰まりしにくいハイクリーンフィルタと同じ素材になっているため、目詰まりしやすいフィルタ(B)は取り外して使用している。
マキタ-HEPAフィルター
HEPAフィルターとは空気清浄機にも採用されている集塵捕集効率の高いフィルターである。JIS規格によって0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタと規定されており、他のどのフィルターより排気性能が高い。
簡単にHEPAフィルターの性能を説明すると、0.3μmの肉眼では見えないハウスダストを10,000個吸い込んだときに取り逃すのハウスダストはたったの3個のみ。そして、風通しのよいフィルターなので排気をクリーンにしながらも、吸引力が大きく低下しないフィルターとなる。
空気清浄機や防塵室にも採用されているエアフィルターだけあって、マイクロスコープで拡大しても隙間は一切見られなかった。以前、スモークマシーンのスモークを吸わせる検証でもHEPAフィルターを装着したクリーナーだけスモークの漏れが確認できなかったことから、排気性能はかなり高いと思われる。
ハイコーキ-HEPAフィルター
ハイコーキのHEPAフィルターもマキタのものと同様に、マイクロスコープで拡大しても微細なゴミが侵入できるような隙間は一切見られなかった。このため、掃除機の排気でアレルギー症状がでる人や、体に有害な粉じんを吸引する場合は、迷わず高機能フィルターとHEPAフィルターを組み合わせた集じん方式を選んだほうがよいだろう。
両メーカーのHEPAフィルターはどちらのカプセル式モデルとも互換性があるが、使用したHEPAフィルターのメーカーの布製フィルターと組み合わせないと、きちんと装着できないので注意が必要である。
ちなみに、以前、HEPAフィルターを装着して風速や真空度を測定したが、不織布のフィルターや高機能フィルターと大差はなかった。体感でも吸引力は低下した感じがしないので、HEPAフィルターを装着することをおすすめしたい。排気が綺麗になるだけでなく、本体に侵入する粉じんが低減しメンテナンス頻度が減るメリットも存在。
各フィルターの表面を比較したまとめ

やはり、排気性能を重視する場合は、マキタの[高機能フィルターEX/HEPAフィルター]か、ハイコーキの[ハイクリーンフィルター/HEPAフィルター]の組み合わせが最強だと感じました。特に一度肺に入ると排出することが難しい金属粉や溶接ヒュームなど有害なゴミを吸引する用途では、HEPAフィルターを装着して使用したいところ。

マキタの紙パック式モデルはHEPAフィルターを装着できないから、排気を意識するなら外付サイクロン装着したカプセル式モデル一択だね。18Vなら(CL281FDFCW)、40Vmaxなら(CL001GRDCO/CL001GRDCW)。
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HIKOKIならHEPAフィルターと2段サイクロン式ユニット式を採用しているR36DA(SC)。18Vは2段サイクロン式ユニット式を取り付けられないからパス。
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