まだ市場で販売されている古いモデル(FREED)
2013年頃まで高級タイプのコードレス掃除機市場にいたメーカーは、海外メーカーの「エレクトロラックス」「ダイソン」でした。スティック型コードレス掃除機が人気を呼び、2014年に国内メーカーが参入しています。先陣をきったのが東芝の「トルネオV」、次いでシャープが「FREED」を投入しました。
そして、約1年後にシャープは後継モデルの「FREED2」を発売しています。FREEDはスティック型の初期モデルとなりますが、今も現行モデルとして市場で販売され続けています。最近、わたしはFREEDとFREED2で家の掃除をずっとしていたので、古い機種と新しい機種の違いや思ったことをここに記載したいと思います。
FREED2には「上位モデル」と「下位モデル」がある
まずはじめに、FREED2のシリーズには(上位モデル)と(下位モデル)の2種類がラインナップされています。それぞれの違いは、「ヘッドのブラシ」「排気口のフィルター」「付属品-布団用ヘッド」にあります。
FREED2の(上位モデル)と(下位モデル)の違いは『EC-SX210とEC-SX310の違い』の記事に書いたので、詳細が気になる方がそちらの記事を参照してください。
吸引力の違い
モデル | 強モード/風速(m/s) |
FREED(従来機種) | 27.1m/s |
FREED2(新機種) | 30.7m/s |
同等の吸引力がある
公式のページでは、FREED2はFREEDより最大風量夫が30%アップしたと記載されていますが、わたしの体感では吸引力に大きな差は感じませんでした。本体の吸込み口に手を当てて比較してみると、従来モデルのFREEDのほうがわずかに強く感じたくらいです。
風速計で吸引力が測れるわけではないのですが、吸込み口の風速を測定してみたところFREED2のほうが3.6m/s強かったので、吸込仕事率はFREED2のほうが上でしょう。しかし、体感では従来モデルのFREEDの吸引力は予想以上に強かったので、予算を抑えたい場合は従来モデルのFREEDもありかなと思います。
回転ブラシの違い
FREEDとFREED2の下位モデルのブラシは同じ
FREEDもFREED2もモーターで駆動する回転ブラシがヘッドに搭載されています。なので、安価な製品に採用されているノーマルヘッドより、ダストピックアップ率(ゴミの除去率)は高くなっています。
写真を見ていただければ分かると思いますが、FREEDとFREED2(下位モデル)には、ブラシバーに2種類のブラシが配列されています。しかし、FREED2(上位モデル)には、4種類のブラシが配列されています。
追加された赤と黄の2種類のブラシは青や緑のブラシより太く腰があるので、「乾拭き能力」「カーペットの集じん性能」「自走アシスト力」はFREEDやFREED2(下位モデル)より、FREED2のほうが向上しています。
FREEDとFREED2に配列されているブラシは、同じ種類のブラシなので「乾拭き能力」「カーペットの集じん性能」「自走アシスト力」の性能に差はないと考えたほうがよいでしょう。そのため、フロアの掃除が平坦な床(フローリング等)がメインであれば、FREEDやFREED2(下位モデル)でも十分だと思います。
体感重量の違い
モデル | 質量 | 手にかかる重量 |
FREED | 2.2kg | 1.82kg |
FREED | 2.1kg | 1.08kg |
Source:SHARP |
FREED2のほうが手に負担がかからない
FREEDに採用されている「ラウンドハンドル」は、握れる範囲が広いので、掃除する場所や(低い場所、高い場所)、使う人の身長によってベストな箇所を握れるので秀逸なハンドルだと思いますが、ハンドルとヘッドを結ぶ中心軸から、重たいモーターやバッテリーが離れているので体感重量は重たく感じます。
FREED2はハンドルとヘッドを結ぶ中心軸上から近い位置にモーターやバッテリーが配置されている「マジックバランス」が採用されています。このマジックバランスにより、軸で重さを支えているので、本体質量はどちらも0.1kgしか変わりませんが、体感重量はFREEDよりFREED2のほうがかなり軽くなっています。
FREED2は、2015年に私が見た手元に重心があるハンディタイプの高級コードレス掃除機の中では一番体感重量が軽いです。手元に重心があるコードレス掃除機は、長時間掃除をしている手が痛くなってくる短所があるので、力のないシニアや女性の人や軽さ重視で選ぶ場合は、FREEDよりFREED2のほうがおすすめです。
自立式
FREED2は自立する
FREEDは本体に延長パイプとヘッドを装着した状態では自立しませんが、FREED2はマジックバランスにより、バランスよく重たいモーターやバッテリーが配置されているので自立することが可能です。重心が上にあるスティック型コードレス掃除機で何の支えもなしに自立するの製品は珍しいです。
掃除をしている際に掃除機から手を離すシチュエーションはけっこうあります。ものをどかしたりするとき、来客時、他に用事ができたときなど。自立式だと床に置く余計な動作がなくなるので、腰痛持ちの人やシニアの方にも優しい掃除機です。
ゴミの捨て方・フィルターのお手入れの違い
同じダストカップセットが採用されている
FREEDとFREED2のダストカップセットは互換性はありませんが、おなじ構造のダストカップセットが装着されています。なので、「ゴミの捨て方」「お手入れ方法」「集じん容量 0.2L」は同じになります。このダストカップセットに組み込まれているパーツは、フィルターを含めすべて水洗いすることが可能なので排気が臭くなっても安心です。
ダストカップはワンタッチで本体から取り外すことができ、上に蓋があるので、下蓋タイプの製品より、ゴミを舞い上がらせることなく捨てることができます。FREEDはサイクロン式といっても、ゴミを分離する部分は単純な構造になっているので、フィルターが目詰まりしやすく吸引力が低下しやすい。
しかし、どのモデルにもフィルター上部には「つまみ」があるので、このつまみを回すことにより、ダストカップセットをばらすことなくフィルターのお手入れが簡単に行えます。なので、ゴミの捨て方やお手入れ頻度を重視する人の場合は、どのモデルを選んでも同じなので問題ありません。
充電方法や連続使用/運転時間の違い
どちらもセパレートチャージが採用されている
FREEDもFREED2も当サイトで紹介しているマキタクリーナーと同じようにセパレートチャージが採用されています。バッテリーを本体からワンタッチで取り外して充電器で充電するので、本体をコンセントのない場所に収納しながら充電することが可能です。また、バラ売りされているバッテリーを購入すれば予備バッテリーとして使うことが出来るので、バッテリーの残量を気にせずに使いまわすことができます。
モデル | 自動モード | 強モード |
FREED | 10~20分 | 8分 |
FREED2 | 10~30分 | 8分 |
体感時間はどちらも同じ!?
FREEDとFREED2の仕様を見ると、FREED2の自動モードの運転時間はFREEDより10分間延びています。しかし、わたしが使用した感想では、FREED2は自動モードで30分ももつことはありませんでした。自動モードは、床の種類を見分けてパワーを自動コントロールするので、フロアの種類によって連続運転時間は左右されますが、どちらも10~15分ほどで残量がなくなりました。自分の体感では自動モードの運転時間はどちらも似たようなものです。
FREEDのバッテリーは電圧や容量が同じです。どちらの充電器も急速充電に対応しているタイプなので、バッテリーの残量0からの状態だと約80分で充電することが可能です。一般的に各家電メーカーのコードレス掃除機の充電時間は3~4時間かかるので、比較的充電するスピードは早いといえます。
なので、掃除の途中で残量がなくなっても、すぐに掃除を開始することができます。掃除する範囲が広い場合は、単品販売されているバッテリーを購入すれば「予備バッテリー」として使用可能です。個人的にFREED/FREED2は運転時間が短く感じるので、清掃範囲が広い場合は予備バッテリーを購入することをおすすめします。
バッテリーに互換性がある
FREEDのバッテリー(BY-5SA)はどこのショップを見てもネットで購入できなくなっています。FREED2のバッテリー(BY-5SB)はFREEDと互換性があるので、予備バッテリーを購入する場合やバッテリーが劣化して買いかえるときは、FREED2のバッテリーを購入しましょう。
ちなみにFREEDのバッテリーをFREED2のバッテリー(BY-5SA)に装着することはできません。少し大きいのでバッテリーの収納スペースに納まりません。
まとめ
予算を抑えたい場合は安いモデル
いかがでしょうか、FREEDとFREED2の吸引力はほとんど変わらないので、予算を抑えたい場合は、値段の安いFREEDもありだと思います。しかし、現在(2016/2)では、FREED2(下位モデル)とFREEDの価格はどこも大差がないので、価格に差がない場合はFREED2(下位モデル)のほうがおすすめです。
軽さや集じん率を重視する場合はFREED2
なるべく手に負担をかけずに掃除をしたい場合は、「マジックバランス」が採用されているFREED2の(下位モデル/上位モデル)を選んだほうがよいでしょう。さらにカーペットからより多くのゴミをかきだしたい場合は、効果の異なる4種類のブラシが配列されているFREED2の(上位モデル)のほうがおすすめです。
排気性能を重視する場合はFREED2(上位モデル)
ちなみに、FREED2の上位モデルの排気口には「Ag+アレルディフェンスフィルター」と「メッシュカバー」が備わっているので、アレルギーの原因となる物質の捕集効率は上位モデルのほうが高くなっています。アレルギー持ちの方や排気のにおいに敏感な方はFREED2の上位モデルがおすすめです。
下記の比較表では、シャープが販売しているスティック型コードレス掃除機の性能や付属品の違いが一目で分かります。