VC560DZVC560DZ(充電式アップライト型掃除機)の特徴
発売日
2020年9月に電動工具メーカーのマキタから36V(18V×2本差)充電式アップライトクリーナー(VC560DZ)が発売された。これまで同社が販売していた掃除機は、横型の集塵機やハンディタイプのスティック型コードレスクリーナーがメイン。縦型(アップライト型)の充電式クリーナーや、モーター駆動の床用ヘッドを搭載したヘッドは、同社や業界でも初となることから、気になる業者の方も多いのではないだろうか。
こんなのいらねえんだよ!業者向けの掃除機は後回しにして、早く40Vmaxリチウムイオンバッテリーを採用したスティック型コードレスクリーナーを発売しろ!俺が求めてるのはパワーだ!!
アップライト型掃除機の特徴
- 重心が下に配置されているためハンドルを持つ手は重さを感じにくい
- 重心が下に配置されているためパワー重視の設計ができる
- 重心が下に配置されているため集じん容量を大きくできる
- アメリカの一戸建ての平均建坪は日本の2倍以上と広い
- アメリカはカーペット敷きの部屋が多い
- 靴を履いたまま生活する土足文化が中心
現代の日本の家庭ではコード式の横型キャニスター掃除機や、ダイソンのような重心が手元に集中しているハンディタイプのスティック型コードレス掃除機が主流となっている。しかし、土足文化が中心の欧米では、特にコード式の電気掃除機は日本で馴染み深い横型キャニスター掃除機のシュアは少なく、縦型のアップライト型掃除機の使用が一般的となっている国が多く存在する。
アップライト型掃除機が縦に長い理由は、日本のキャニスター型より吸引力の強いモーター・パワーヘッド・集じん容量の大きいダストカップを搭載する必要があるため、縦に長い設計となっている。米国の家の広さは日本の家より平均建坪が2倍も広いうえ、家中に靴を履いて歩き回る土足カーペットを敷いていることを考えると、手に負荷がかかりにくく、パワーのあるアップライト掃除機が主流になるのも頷けるのではないだろうか。
ダイソンキラー!と言われて日本に殴り込みをかけたSHARK(シャーク)。2016年にアメリカで掃除機シェアをダイソンから奪って人気になった掃除機はコード式のアップライト型。日本で発売されたコードレスクリーナーは個人的にまだ完成形だとは思えないし、実際に売上げランキングを見ていても、まだダイソンや国内メーカーをキラーするのは難しいように感じる。
正直、なんでこんな糞重たくて、使い勝手の悪い縦型の掃除機が主流になっているのかわからぬ。海外に留学した人や移住した人もアップライト型の掃除機にびっくりして、実際に使ってみると使い勝手が悪いという意見も多いようだ。でも、日本で人気の自走式ヘッドだと、砂を掻き出せる硬いブラシを搭載できないし、逆に硬いブラシを搭載してカーペットを掃除すると手に負荷がかかるから、やっぱり手に負荷がかからないアップライト型が求められるのだろうか?
どういう場所の掃除に向いているの?
- 大型業務施設(オフィス・廊下など)
- 大型商業施設(ホテル・店舗など)
- 電源の確保が難しい広範囲の掃除
アップライト型掃除機は前述したように、日本の住居より床面積が広くて段差が少ない欧米の家で主流になっているタイプの掃除機。敷居や段差が多くて床面積が狭い日本の家では、重量が重たくて取り回しの悪い充電式アップライトクリーナー(VC560DZ)は不向きとなる。
段差が小さくて広い部屋や長い廊下の掃除機に向いている「VC560DZ」は、広い業務施設・商業施設のフロアを掃除するのに最適となる。また、バッテリーで作動するコードレス式掃除機なので、面倒なコードの抜き差しも不要となり、作業者の負担を減らすメリットもある。
個人的には横型のキャニスター式に慣れているので、自分が広い場所を掃除する清掃員だった場合、縦型のアップライトは使いたくないのが本音。マキタやハイコーキからは、充電式の集塵機や背負クリーナーが販売されているのでそっちを採用してほしいところだが、VC560DZのように回転ブラシが搭載されている床用ヘッドを搭載したモデルは存在しない。それを考えるとカーペット敷きのフロアからしっかりゴミを吸引したい場合は、同社が展開する充電式掃除機の中では「VC560DZ」しか選択肢がなくなる。
電圧と使用バッテリー
- プロ用の18Vバッテリー×2個で作動
- 18Vバッテリー1個では作動しない
- バッテリーはヘッド前側(上部)に装着
- バッテリーと充電器を用意する必要がある
VC560DZは同社が展開しているプロ用電動工具(18Vシリーズ)に採用されている着脱式リチウムイオンバッテリーを2本(18V+18V>36V)差込むことで運転可能。18Vのバッテリーを2個装着して36V仕様にしたシリーズのため、18Vのバッテリーを1個で作動しない。
VC560DZは本体のみの販売のため、別販売されている18Vのバッテリーや充電器を購入する必要がある。バッテリーの充電時間を時短したい場合は、18Vのバッテリーを2個同時に充電できる2口急速充電器(DC18RD)が最適である。
新しく発売した「40Vmaxリチウムイオンバッテリー」で2本差込みタイプにすればいいのにな。もちろんバッテリー1個でも作動可能と。新規で18Vのパワーソースキット2(BL1860B×4 DC18RD×1 マックパクタイプ)買ったら90,000円も吹っ飛ぶという。
運転モード
- 静音モード
- 標準モード
- パワフルモード
VC560DZの運転モードは「静音」「標準」「パワフル」の3種類に切り替えることが可能。吸引力が変わる「運転モード」を切り替えることによって、節電効果を得られたり・騒音値を低減することができるので、用途に合わせて使用することができる。
吸込仕事率(吸引力)
VC560DZ 各運転モードの吸込仕事率は「静音:25W」「標準:50W」「パワフル:80W」。同社の充電式集塵機と比べると吸引力の目安となる吸込仕事率に大きな差はないが、VC560DZは回転ブラシを搭載したパワーヘッドを標準装備しているため、カーペットにおけるダストピックアップ率(ゴミ除去率)はVC560DZのほうが向上しているだろう。
同社の充電式スティック型コードレスクリーナーと比べると20W程度の差のため、18Vのバッテリーを2つ搭載した36Vの割に吸引力はそこまで強くないなという印象を受けた。ちなみに、同社が販売している同クラス(18V+18V>36V)の充電式集塵機の吸込仕事率は100W前後。競合のハイコーキの充電式集塵機(RP3608DA-36V)は300Wもあることを考えると吸引力に大きな差がある。
集じん方式
VC560DZの集じん方式は紙パック式となっている。紙パックの集じん容量は5Lになっており、一般家庭で使われている紙パック式キャニスター掃除機の集じん容量が1.5Lほどなので3倍以上のゴミを溜められることができる。紙パック(A-70839)の価格は10枚入りが2,000円(標準小売価格)。
排気口に空気清浄機などにも採用されている「HEPAフィルター」を取り付けられるようになっており、紙パックで捕らえられなかった粉じんを捕集。清掃をする職場の空気を汚さないだけでなく、作業している人も安心して使える。HEPAフィルター(A-70845)の価格は1枚1,700円(標準小売価格)。
騒音値(運転音の大きさ)
VC560DZの各運転モードの騒音値は「静音:57dB」「標準:64dB」「パワフル:67dB」。
今この記事を作成している筆者の部屋を騒音計を測定すると、不快な音は聞こえないものの40dB台の騒音値となっている。この騒音計を台所で回っている換気扇に近づけると騒音値は約50dB台に上昇する。
つまり、VC560DZの「静音モード」は換気扇くらいの騒音値なので、業務施設・商業施設・病院等で使用をしても利用者は不快にならないほど静かな運転音。VC560DZは、うるさい音をだすとクレームがつくような施設の掃除にも最適となっている。
また、今人気のスティック型コードレスクリーナーでも、「標準/強モード」の騒音値が60dB台になるモデルはないので、60dB台の「標準」「パワフル」はコードレスの中ではかなり静かな部類。人の普通の声が60dBなので、部屋の間取りや壁の素材にもよるが、一軒家でVC560DZのスイッチを入れても住人は気づかないレベルと考えて問題ないだろう。
掃除機や集塵機の強モードの騒音値が60dB台のモデルは騒音対策がされてると考えてよいだろう。マキタやハイコーキが販売している集塵機の中には静音タイプのモデルも存在し、そのまた昔に筆者は日立工機の集塵機を購入したことがあるが、あまりの静かさにびっくりした覚えがある。以前、動画を撮っていた(参照動画)。
重量(バッテリー装着時)
VC560DZに「BL1860B(6.0Ah)」×2本を装着したときの重量は8.9kgとなる。
重量は8.9kgと家庭用掃除機と比べると重たいが、アップライト型のVC560DZは、重たいモーターやバッテリーなどのパーツが床下近くに集中しているため、操作する人が手に重さを感じにくい。しかしながら、ヘッドを上げ下げする動作が多い環境では一苦労となるので、段差の多い場所では横型の集塵機のほうが向いている。ただし、同社の集塵機の床用ヘッドにはモーター駆動の回転ブラシは搭載されていない。
連続使用時間
VC560DZは容量が6.0AhのBL1860Bのバッテリーを2個装着時の連続運転時間は、「パワフル:約30分」「標準:約1時間」「静音:2時間」となっている。
電源をバッテリーからとっているので制限時間があるものの、BL1860B(6.0Ah)を2口急速充電器(DC18RD)で充電すると、2つのバッテリー(BL1860B)を同時に約55分で満充電することができる。一回の使用時間がBL1860Bの連続使用時間を超えてしまう場合は、予備バッテリーを用意して交互に使うことでより長時間の掃除にも対応できる。
充電時間
VC560DZに装着する18Vバッテリーはマキタが販売している充電器で充電するため、用意する充電器によって充電時間が異なる。ちなみに、一番容量が大きい「BL1860B(6.0Ah)」を一番充電時間が早い「DC18RF」で充電すると約40分ほどかかるため、一日に何度もバッテリーを充電するほど使用する場合は、予備バッテリーだけでなく、バッテリーを2つ同時に充電できる急速充電器(DC18RD)を用意しておきたい。
バッテリーを1個いっこ充電するのは面倒なうえ時間(40分×2回)がかかるから、18V×2本差しの電動工具を使う時は、カタログに掲載されている2口急速充電器(DC18RD)を用意しておきたいな。こいつの充電スピードは130分かかる「DC18SH(2口)」「DC18SF(4口)」より早いぜ!
床用ヘッドの特徴
同社が販売しているスティックコードレスクリーナーや集塵機は、吸口に回転ブラシが搭載されていないノーマルヘッドを標準装備しているが、VC560DZはモーター駆動で回転する回転ブラシがついたパワーヘッドを標準装備している。
付属品(アタッチメント)
伸縮ホース&アルミパイプ(標準付属品)
ロングサッシノズル(標準付属品)
ラウンドブラシ(標準付属品)
お知らせランプ
本体上面には「お知らせランプ」が搭載されており、運転モード・バッテリー残量・ゴミ捨てや回転ブラシのエラーなどの確認が行える。
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