2017年12月25日に「R14DA」と「R18DA」を発売
近年、売上利益が純利益が右肩上がりだったにもかかわらず、株式市場で一番ランクの高い東証一部からの上場廃止、日立製作所を頂点とする日立グループからの離脱、そして、親会社が日立製作所からHKホールディングス(KKRが設立)に異動と、社員やユーザーにとって衝撃的な話題が多かった日立工機。
そんな日立工機から、2017年12月に新しいスティック型コードレスクリーナー「R14DA(14.4V)」と「R18DA(18V)」の2台が発売された。従来モデルと吸込仕事率は同等だが、スイッチ方式が使いやすくなったパネルスイッチにマイナーエチェンジ。どちらも、プロの現場でも使用できるパワフルな業務用シリーズなっている。
なお、会社名変更に伴い、今年(2018年)の10月1日からブランド名も日立工機から「HiKOKI(ハイコーキ)」と変わるため、不安になられるユーザーもいると思うが、今回の売却は本業の業績が悪くなった理由ではないため、今後も日立工機の製品のクオリティや信頼度が落ちることはないと考えて良いだろう(参照記事)
R14DA | 仕様 | R18DA |
14.4V (6.0Ah) | バッテリー | 18V (6.0Ah) |
強:35W | 吸込仕事率 | 強:40W |
強:42分 | 稼働時間 | 強:48分 |
強:30分 | 充電時間 | 強:30分 |
1.5kg | 重量 | 1.6kg |
「R14DA」と「R18DA」の違い
同時期に発売された「R14DA」と「R18DA」の大きな違いは、本体に装着するバッテリーである。どちらも「スティックタイプ」や「ハンディタイプ」として使用することができ、「集じん方式」も「付属アタッチメント」も同じであるが、本体に装着するバッテリーの電圧がR14DAは(14.4V)、R18DAは(18V)となっている。
基本的に電動工具メーカーの製品は電圧が高いほうが、強いパワーと長く使えるスタミナを備えており、コードレス掃除機も「R14DA」より「R18DA」のほうが、吸引力の目安となる吸込仕事率が高く、連続使用時間も長くなっている。そのため、吸引力や稼働時間にウェイトをおく場合は、電圧が高いR18DAのほうがおすすめである。
(NN) | 仕様 | (YP) |
○ | 本体 | ○ |
○ | 延長管 | ○ |
○ | 床ヘッド | ○ |
○ | 隙間ノズル | ○ |
× | 充電器 | ○ |
× | バッテリー | ○ |
「R14DA/R18DA(NN)」と「R14DA/R18DA(YP)」の違い
「R14DA」と「R18DA」の現行機種には、形名の末尾が(NN)と(YP)で終わるモデルの2種類が販売されている。(NN)と(YP)の違いは、「充電器」と「バッテリー」の有無となっており、(YP)には本体と標準付属品(延長管・ヘッド・スキマノズル)に加え、「充電器」と「バッテリー」が同梱されている。
一方の(NN)は、本体と標準付属品(延長管・ヘッド・スキマノズル)のみとなっており、充電器やバッテリーが付属されていない。そのため、(NN)と(YP)の価格には大きな差があり、充電器とバッテリーが同梱されている(YP)のほうが価格が高い。
なぜ、本体が単品で販売されているかというと、基本的に電動工具メーカーのバッテリーは電圧が同じであれば、その他の電動工具にも使い回すことができるため、既に充電器とバッテリーを持っているユーザーのために、本体のみの販売を行っているのだ。
前モデルとの違い[R14DA /R18DA]vs[R14DSAL/R18DSAL]
前モデルの[R14DSAL(14.4V)]と[R18DSAL(18V)]は2014年12月に発売されたモデルなので、今回新しく発売された[R14DA(14.4V)]と[R18DA (18V)]は3年ぶりの新モデルとなる。(2017年12月発売)
同じ容量のバッテリー(6.0Ah)を搭載した場合、掃除機選びで重要となるポイントの[吸込仕事率][連続運転時間][集じん方式]は差がないため、大きな違いは[スイッチ方式]と[重量]となる。
ダイソンのようにこまめにスイッチの切り替えが行える[トリガースイッチ]が用途に合っている場合は前モデルを選ぶとよいだろう。スイッチを切り替えずに連続運転する用途では「スイッチッ」が採用されている新モデルを選ぶとよいだろう。
重量を重視する場合は、本体重量が新モデルより約200g軽い前モデルを選ぶとよいだろう。ちなみに、バッテリーの容量を3.0Ahのタイプに変えても、3.0~6.0Ahのバッテリー重量は同じなので軽量化することはできない。約200g軽くする場合は2.5Ah以下のバッテリーを搭載することで可能だが、稼働時間が大幅に減るデメリットも。
[R14DA]と[R18DA]の吸引力
検証用のマットを吸い上げるほどのパワー
掃除機の吸引力の指標となる「吸込仕事率」は、R14DAが(35W)、R18DAが(40W)、前モデルの「R14DSAL」と「R18DSAL」と同等の仕様となっており、パワーには違いは見られなかった。吸引力は前モデルから定評があり、アマゾンや楽天市場のレビュー数が少ない場合は、前モデルの「R14DSAL」と「R18DSAL」のレビューを参考にするとよいだろう。
当サイトが行った検証でも、木工場で発生する木材のおが屑や切り屑をフローリング・カーペット(絨毯)ともにほぼワンストロークで吸引するパワーがあった。カーペットに関してはヘッドで吸い上げるほどパワーがあるためヘッドを前後に滑らしにくいほど。(対策記事)
ただし、基本的に電動工具メーカーのスティック型コードレス掃除機の床用ヘッドには、モーター駆動の回転ブラシが搭載されていないため、カーペットの奥深くに入り込んだ微細なゴミや、繊維にからみついた髪の毛やペットの毛を集じんする能力は低い。
大手家電メーカーの高級タイプのスティック型コードレス掃除機のような乾拭き効果やカーペットの集じん性能は優れていないが、フローリングメインの家庭であれば、クイックルワイパーと併用すれば十分メイン掃除機として使えるパワーを備えている。
大手電動工具メーカーの中では「R14DSAL」と「R18DSAL」の吸引力は強い部類にはいり、家庭のフロアに落ちているゴミを吸引する用途であれば、どちらも満足できるパワーとなっている。予算に余裕があり、吸引力を重視したい場合であれば、18Vの「R18DSAL」を選ぶとよいだろう。
[R14DA]と[R18DA]のスイッチ方式
ハンドルを握ったまま操作できるパネルスイッチ
日立工機の14.4V~18Vシリーズの従来モデルのスイッチ方式は、「トリガー式スイッチ」が採用されていた。トリガー式の特徴は、スイッチのON/OFFが指で素早く切り替えられるため、連続運転をしない用途には最適だった。また、こまめにスイッチの切り替えができることから、バッテリー容量の節約できるメリットも存在した。
しかし、一部のユーザーからスイッチを引き続ける指が痛くなるなどの批評や、吸引モードの切り替えが行えないなどのデメリットも存在した。そのため、連続運転する用途に向いている「ワンタッチ式スイッチ」の業務用モデルが欲しい場合は、[マキタ][リョービ][ボッシュ]などの電動工具メーカーから選ぶしか選択肢がなかった。
今回新しく発売されたモデルは14.4V~18Vシリーズでは初となる「パネルスイッチ」が採用されている。また、パネル操作から[弱モード][標準モード][強モード]と三段階の吸引モードの選択が可能となっている。さらに、新しい7.2V~10.8Vのモデルや、競合メーカーに搭載されているパネルスイッチの位置より後方に配置されているため、ハンドルを握りながら片手で操作しやすくなっている。
[R14DA]と[R18DA]の集じん方式
従来モデルと変わりないダストケース集じん方式
新モデル(R14DA/R18DA)の集じん方式は、[ダストケース集じん方式]が採用されており、吸い込んだ空気とゴミを中央に配置されたフィルターで分離している。吸い込んだゴミはダストケース内に溜まり簡単に捨てられることができ、フィルターは水洗いすれば繰り返し使用することができるため、紙パック式のモデルに比べると経済的である。
前モデル(R14DSAL/R18DSAL)と同じ集じん方式が採用されており、特に変わったところは見られなかった。ダストケース内部に配置された[除じん機構]、消耗品である[フィルター]も同じものが採用されており14.4V/18V兼用となっている。そして、ゴミを溜める集じん容量も(560ml)なので、前モデルとゴミを溜められる量は同じである。
採用されているフィルター
フィルターは二重構造になっており、目に見えるゴミを捕集する[プレフィルター]と微細なゴミを捕集するフェルト生地の[フィルター]で構成されている。どちらも消耗品となっており、プレフィルターは長年使用することができるが、フィルターは何度か水洗いして草臥れてきたら捨てるユーザーが多い。各フィルターは前モデルや7.2V・10.8Vシリーズのモデルと同じものが採用されている。
フィルターに付着したゴミを除去できる除じんブレード
前モデルにも搭載されていた[除じん機構]が採用されており、ゴミ捨てを行う前にダストケースを3~4回左右に回転させることで、ダストケースに配置された3つの除じん[ブレード]がプレフィルターに付着したゴミを除去することができ、手を汚さずにゴミ捨てが行える。とはいえ、フィルターに付着した微細なゴミまでは完全には除去できないので、気になるのであれば[ダスター刷毛]を使用するとよいだろう。
排気性能や目詰まりが気になるなら、「布フィルター&HEPAフィルター」(別販売品)
同社は2017年に[布フィルター]と[HEPAフィルター]を発売しており、このフィルターは14.4Vと18Vシリーズのダストケース集じん方式が採用されているモデルに取り付けることができる。新モデルの純正フィルターでは排気性能が気になる場合や、目詰まりしたフィルターのお手入れが面倒に感じた場合は、ハウスダストのような微細なゴミも捕集できる[HEPAフィルター]と目詰まりしにくく表面に付着した微細なゴミを除去しやすい[布フィルター]を一緒に取り付けるとよいだろう。(セットでの使用となります)
フィルターのお手入れから解放されるサイクロンアタッチメント(他メーカー別販売品)
日立工機のような吸い込んだゴミをダストカップに溜める[ダストケース集じん方式]は、他の電動工具メーカーにも採用されている。この集じん方式は簡単にゴミが捨てられ、紙パック式のようにランニングコストがかからず経済的であるというのがウリであるが、長く使っているとフィルターのお手入れが億劫になってくるデメリットも存在する。
この不満はマキタのサイクロンアタッチメントを取り付けることにより解消されることから、すぐにフィルターが目詰まりするようなゴミを毎日吸引している人におすすめしたい。日立工機のクリーナーにサイクロンアタッチメントを取り付ける方法やレビュー記事はこちら(マキタから発売されたサイクロンアタッチメント(A-67169)の使用レビュー)からどうぞ。
[R14DA]と[R18DA]の連続使用時間と充電時間
どちらも一家まるごと掃除ができるスタミナ!
基本的に電動工具メーカーのコードレス掃除機には、電動工具に使用されている外付けタイプのリチウムイオンバッテリーが採用されており、新モデルの[R14DA(YP)]と[R18DA(YP)]にも同社の電動工具に装着して使用できるバッテリーが標準付属されている。
[R14DA(YP)-14.4V][R18DA(YP)-18V]どちらの電圧のバッテリーも容量は6.0Ahと現行の中で一番大容量のタイプが同梱されている。そのため、一番吸引力が強い[強モード]で使用しても40分以上稼働することができるスタミナを持っており、家では一回の充電で一家まるごと(4部屋)の掃除が3~4回ほどできるので、毎回掃除をするたびにフル充電する手間が省けるほどだ。
大容量バッテリー(6.0Ah)をわずか30分でフル充電!
[R14DA(YP)]と[R18DA(YP)]には、同社の電動工具のセット品にも同梱されている最新の[UC18YDL(14.4V・18V兼用)]という充電器が標準付属されている。14.4V・18Vバッテリーを冷却しながら充電するため、ダイソンのような高級タイプの製品を販売しているメーカーが真似できないほどスピードで充電を終えられ、途中でバッテリー残量がなくなっても安心だ。
ただし、急速充電器でバッテリーを充電するため、充電スピードが早いことと、本体を好きな場所に収納できるメリットがあるものの、本体からバッテリーを着脱するというちょっとした一手間がかかる。また、冷却ファンを回しながら充電するため、充電器を設置している部屋に居ると耳障りな音もする。(隣の部屋までは聞こえない)
[R14DA][R18DA]バッテリーの種類と交換方法
新モデルは、前述したように同社の電動工具にも使用されている”外付け式バッテリー”が採用されているため、バッテリーに寿命がきたら、自分で単品販売されているバッテリーを買い換えれば交換することができる。
[R14DA(YP)]には14.4Vシリーズの[BSL1460]、[R18DA(YP)]には18Vシリーズの[BSL1860]が付属されているため、同じ容量(6.0Ah)のバッテリーが必要な場合は、同じ型番のバッテリーを注文するとよいだろう。
なお、付属品の大容量バッテリー(6.0Ah)は一番高額なので、安価なバッテリーを選びたい場合は、従来のスタンダード品(3.0Ah)のバッテリーを選ぶとよいだろう。当然、稼働時間は短くなるが、充電時間は半分のスピードで終えられる。
よくバッテリーはどれくらいで寿命がくるのかと問い合わせフォームからご質問をいただきますが、建築現場や木工などで残量が0になるようなハードな使い方をして、毎日充電を行っていると約2年ほどで寿命がきます。なので、例えば毎日掃除をしたとして、2日に1回残量がなくなり充電をした場合、寿命がくるのは倍以上の年月になります。掃除をする時間が短かったり、サボり屋さんの場合、さらに寿命がくるのが遅くなります。
[R14DA][R18DA]の重量
モデル名 | 発売日 | 電圧 | 本体重量 6.0Ah装着時 |
R14DA | 2017年(新) | 14.4V | 1.5kg |
R14DSAL | 2014年(前) | 14.4V | 1.3kg |
R18DA | 2017年(新) | 18V | 1.6kg |
R18DSAL | 2014年(前) | 18V | 1.4kg |
数字では軽いが5分もしないうちに手首が痛くなってくる
日立工機はコンパクト+軽量かつメモリー効果の影響を受けない”リチウムイオンバッテリー”を採用したことにより、様々な種類のコードレスツールを増やし続けている。その中でスティックタイプのコードレスクリーナーも早い段階で登場し、今やプロの現場だけでなく、[マキタ][日立工機][リョービ]のような大手電動工具メーカーの製品を一般家庭でも普及し、愛用しているユーザーは決して少なくない。
以前は14.4V・18Vシリーズのバッテリーは、容量が3.0Ahのタイプがスタンダードであったが、今やバッテリーは年々進化を続けており、4.0Ah→5.0Ah→6.0Ahの順で大容量タイプが登場。電動工具のセット品にも現行の中で一番大容量のバッテリーが標準付属されるのがデフォルトになってきている。掃除機も新しい大容量のバッテリーが発売されるとその、バッテリーが装備されたマイナーチェンジされたセット品が販売される。
末尾が(YP)の新モデルにも容量が6.0Ahのバッテリーが標準装備されている。現在販売されている中で一番大容量のバッテリーなので重たいイメージがあるかもしれない。しかし、14.4Vと18Vの容量が3.0Ah~6.0Ahのバッテリーは重さが同じなため、本体にバッテリーを装着した重さは3.0Ah以上のバッテリーを装着しても大した違いはない。(2016年調べ)
本体に6.0Ahのバッテリーを装着した重さは14.4VのR14DAが(約1.5kg)、18VのR18DAが(約1.6kg)となっているため、どちらのモデルも数字や体感的にも大きな差はない。少しでも軽さを重視したい場合は、スイッチがトリガー方式になってしまうが、新モデルより200g軽い前モデルの[R14DSAL]や[R18DSAL]がおすすめである。
バッテリーを装着した本体の重量はペットボトルくらいの重さなので、数字を見ると非常に軽いイメージがあるが、手元に重たいバッテリーやモーターが配置されているため、前モデルも新モデルも5分もしないうちに手首が痛くなってきた。ご年配の方や小さい子供に使わせるのであれば、吸引力は劣ってしまうが10.8Vシリーズの[R10DAL]がおすすめである。