シャープのラインナップ
Image | 機種名 | シリーズ |
EC-SX200 レビュー記事 | 2014年5月に発売 FREEDシリーズ 第一弾となるモデル | |
EC-SX210 レビュー記事 | 2015年6月に発売 FEED2シリーズ:下位モデル 第二弾となるモデル | |
EC-SX310 レビュー記事 | 2015年6月に発売 FEED2シリーズ:上位モデル 第二弾となるモデル | |
EC-SX320 レビュー記事 | 2016年5月に発売 FREEDシリーズ:下位モデル 第三弾となるモデル | |
EC-SX520 レビュー記事 | 2016年5月に発売 FREEDシリーズ:上位モデル 第三弾となるモデル | |
EC-A1R レビュー記事 | 2016年12月に発売 RACTIVE Air(ラクティブエア) 第一弾となるモデル |
RACTIVE Air(ラクティブ エア)EC-A1Rの特徴
ラクティブエアシリーズの初号機
●「2016年12月」に発売した
●「FREEDシリーズ」とは別物
●(ピンク)と(イエロー)の2色をラインアップ
シャープはコードレススティッククリーナ「RACTIVE Air(ラクティブ エア)EC-A1R」(以下、ラクティブエア)を2016年12月に発売した。ラクティブ エアのカラーは、ピンク(EC-A1R-P)とイエロー(EC-A1R-Y)の2色がラインナップされており、それぞれのモデルは本体カラーが違うのみで、コードレス掃除機の気になる吸込仕事率、連続運転時間、充電時間などの仕様(スペック)は同じとなっている。
シャープは2014年から本格的な掃除ができるモーターヘッドを搭載したハイエンドタイプのスティック型コードレス掃除機を販売してきたが、今回発売された「ラクティブ エアシリーズ」のEC-A1Rは、これまで毎年3年間発売し続けてきている「FREEDシリーズ」のモデルとは異なった特徴を持っている。従来製品のFREEDを使ってきた私が、新製品のラクティブエアを使用した感想と特徴をお伝えしよう。
ラクティブエアはどれくらい軽いの?
競合メーカーが嫉妬するほど軽い
●ハイエンド機の中で一番軽い
●歴代FREEDより軽い操作性
●これまで一番軽かった東芝の製品は1.9kg
●本体の重さはマキタの家庭用モデルに匹敵
2015年以降に同社から発売されたFREEDシリーズのモデルは、吸込口とハンドルを結ぶ中心軸上に重たいバッテリーやモーターをバランスよく配置し、手首にかかる負担を軽減させた「マジックバランス」を採用しており、軽やかな操作性で人気があった。さらには、充電スピードが早い「セパレート・チャージ方式」の採用や、重心が上にあるハンディータイプなのに「自立」させることができるという独自の特徴も打ち出していていた。
一方、今回新しく発売されたラクティブエアは、FREEDのように自立することができなくなったものの、延長管に軽さや耐久性が求められる航空機やレーシングにも使用されている軽くて丈夫な「ドライカーボン」が採用されており、徹底的に軽量化とコンパクト化を追求した製品となっている。軽さにこだわられたラクティブエアの重量は、標準装備されている床用ヘッドを装着した状態で1.5kg。1.5kgという重さは、現在、高価格帯のコードレス掃除機を販売しているメーカーの製品の中で一番軽量だ。
本機の各パーツを切り離し質量を量ってみると、本体(1039g)、延長管(123g)、床用ヘッド(359g)と、どのパーツかなりの軽量設計となっている。これまでハイエンドタイプの製品の中で一番の軽さをキープし続けてきた、2015〜2016年に東芝から発売されたトルネオVコードレスの本体質量が1.9kgだということを考えると、軽い操作性を重視して他者の製品を購入したユーザーが嫉妬するほどの軽さである。
本体が女性でも軽々と持てる約1kgだから、毎日の掃除がラクラク
ハイエンドタイプの製品には軽い操作性を売りにした製品もあるが、レビューを探っていると長時間掃除をしていると手がだるくなるという書き込みも決して少なくない。ラクティブエアはヘッドと延長管を外した本体の重量が約1kgと、軽さで定評のあるローエンドタイプのマキタ「CL107FDSHW」の本体と同じくらいの重さなので、長時間、スティック形状やハンディ形状で掃除をしても、手首がだるくなったり痛くなることはなかった。
ちなみに、ラクティブエアと本体質量が軽いと言われているマキタの業務用モデル(14.4~18v)の重量を比べると、仕様ではマキタの方が軽くなっているが、床用ヘッドを取り外した状態だとラクティブエアの方が軽い。さらに、ハンドル下に配置されているバッテリーも軽いので、長時間床を掃除をしてもマキタのように手首がだるくならないだけでなく、付属されているハタキノズルを装着して高い場所を掃除しても腕が疲れなかった。
軽い操作性で注目されやすいのが、回転ブラシの力で前進する「自走式ヘッド」、同社から今年4月に発売されたfreedの上位モデル「EC-SX520」にも、ヘッドの車輪が走る自走力の強い自走式ヘッドが搭載されている。しかし、自走力が強いヘッドは手に力をかけずにヘッドを前進させられる利点があるものの、ヘッドを後退させるときには重く感じるという欠点も存在する。
また、自走式ヘッドは重たくて大きいものが多いため、家の中に存在する階段、絨毯、部屋の境目などの段差をまたいだりする際や、ヘッドを方向転換させるときに必要な動作(ヘッドを持ち上げする)を繰り返していると腕がだるくなってくることもある。
一方、ラクティブエアは、モーターヘッドや延長管も軽い設計になっているので、前述した段差をまたいだり、ヘッドを方向転換させる際にヘッドを軽い力で上げ下げできた。EC-A1Rのヘッドにも「自走式」が採用されているが、自走力はヘッドの車輪を走らせる専用モーターを搭載したEC-SX520ほど強くないものの、同社の歴代モデルよりコンパクト設計のヘッドになっているため、テーブルや椅子の脚周りのような狭い場所では、EC-A1Rのほうが小回りよくスムーズに掃除ができた。
上は、同年4月に発売されたFREED(EC-SX320とEC-SX520)のヘッドと大きさを比較した写真だが、吸込口の幅は同じであるが、軽量かつコンパクトな設計になっていることが分かる。
気になるラクティブエアの吸引力ってどうなの?
本体は軽量級だけどパワーは重量級!
掃除機を選ぶとき一番気になるポイントは吸引力であるが、ラクティブエアは徹底的な軽量化とコンパクト化に特化されているため、「吸引力が弱いのではないか?」という不安もあることだろう。しかし、ラクティブエアには、同年に発売されたFREEDと同じ「大風量モーター」と「リチウムイオンバッテリー」が採用されているうえに、延長管や本体吸込口の内径を細く絞って吸気風を高速化しているため、肝心の吸引力は想像以上に強かった。
上はフローリングやカーペットの表面に大鋸屑を撒き、ラクティブエアで吸い取った動画だが、キャニスター掃除機のような強力なパワーはないものの、吸込口に搭載された回転ブラシが目に見えるような大きなゴミから、アレルギーの原因となる超微細なハウスダストを浮き上がらせ、スリット状に絞られた吸込口に吸引されていく。コンパクト+軽量だが、キャニスター掃除機のように床を綺麗に掃除ができるので、メイン機としても使える十分な集じん力を兼ね備えている。
ラクティブエアのゴミ捨てやフィルターのお手入れは簡単?
くるくる回してフィルターのお手入れができる「ツマミ」が消えた
コードレス掃除機で面倒なことといえば「ゴミ捨て」や「フィルターのお手入れ」。EC-A1Rは軽量化に特化されているためか、集じん容量が0.13Lとあまりゴミを溜めることができない。そのため、こまめにゴミ捨てをしなければいけなくなるが、簡単にダストカップを本体から取り外せるうえ、埃を舞い上がらせることなくゴミ捨てやフィルターのお手入れができるのでさほど億劫にならない。
ちなみに、同社から販売されているfreedシリーズのモデルには、フィルター部につまみが付いており、このつまみをグルグル回すことにより、簡単にフィルターのお手入れができる。この簡単にフィルターお手入れができる機構は軽量化のため、EC-A1Rには採用されなかったのかもしれないが、重量を増やしてもいいのでつまみを採用してくれると個人的に嬉しかった。
EC-A1Rの集じん方式は1段式サイクロン式構造になっており、カップの中にフィルターが配置されているシンプルなフィルター式と違い、目に見えるような大きなゴミはダストカップ内で円心分離される構造になっているため、フィルター表面に大量のゴミが付着しにくくなっている。しかし、ダイソンの2段式サイクロン式構造のように空気中を浮遊するような微細なゴミまで分離するほど分離能力は優れていないので、こまめにフィルターのお手入れをする必要があった。
ラクティブエアの稼働時間、充電時間、充電方式はどうなった?
80分で充電できるから、競合社のように4時間〜5時間も待つ必要なし
●充電時間:(約80分)
●連続使用時間:(強30分)(標準30分)
●充電方法:セパレート・チャージ方式
シャープの製品(FREEDシリーズ)の大きな特徴は、軽やかな操作性がおこなえる「マジックバランス」以外に、充電器で取外式バッテリーを急速充電できる「セパレート・チャージ方式」が採用されていることがあげられる。EC-A1RにもこれまでのFREEDシリーズの製品に採用されていたるセパレート・チャージ式は健在で、FREEDと同じバッテリー(BY-5SB)と充電器(YS-03)が付属されていた。なので、家にあるFREEDのバッテリーでEC-A1Rを稼働させることや充電することもできた。
●充電時間が早いから→すぐに掃除が開始できる
●充電器で充電するから→本体を好きな場所に収納できる
●予備バッテリーを用意できるから→稼働時間を拡大できる
セパレート・チャージ方式の特徴は、本体からワンタッチでバッテリーを取り外し、充電器で充電が行えることにある。そのため、充電するたびにバッテリーを着脱するちょっとした一手間がかかるものの、約80分という他の大手家電メーカーが真似できないようなスピードで充電ができることと、本体を使わないときは好きな場所に収納できるメリットがある。さらには、2つバッテリーを用意して交換しながら使えば、稼働時間を一気に2倍に引き延ばせることができるので、予備バッテリー(BY-5SB)を購入する人も多い。
予備バッテリーを用意できるから広範囲の掃除もできる
バッテリー1個の連続運転時間は、標準モードで(約30分)、強モードで(約8分)。掃除の途中で充電が切れても、約80分という短い時間で充電ができるので安心だ。ハイエンドタイプの製品を販売している競合メーカーは、満充電するのに3〜5時間かかるので、シャープの製品のようにすぐに掃除を開始することができないのだ。
もし、バッテリー1つで掃除しきれないほど広範囲で使用する場合は、単品販売されているバッテリーを予備として購入すれば、稼働時間を2倍に引き延ばすことも可能となっている。予備バッテリーを用意しておくことで、「途中で充電が切れないか?」などと不安になることなくしっかり掃除もできるのはメリットは嬉しい。
その他に、バッテリーに寿命がきたときも工具を使わずに自分で交換できるので、本体を販売店に持ち運んだりする手間や修理費用がかからない利点もある。ちなみに、ラクティブエアに採用されているバッテリーは従来製品に採用されていた(BY-5SB)と同じ。この電池はアマゾンや楽天市場などにも販売されており、5千円台で注文することができるので、他のライバルメーカーより明らかに安いのも嬉しいところ。
ラクティブエアの収納方法
立てかけたり・引っかけたりできる「ゴム製ホルダー」
●家具などにひっかけて収納することができる
●壁に立てかけても倒れにくい
本機の収納方法は、その辺の家具などに引っ掛けておくだけだから、使いたいときにサッと取り出せるのが便利。従来のFREEDのように自立させる機構はなくなっているものの、本体裏側に、壁に立てかけたり、家具に引っ掛けたりすることができる、ゴム製のホルダーが装備されている。そのため、掃除中に物をどかしたり、急な来客があっても、すぐに掃除を中断させることができる。
また、家具と家具の狭いあいだ、部屋の片隅、クローゼットの中のような倒れにくい場所で、ホルダー部を家具などに引っかければスリムに収納することもできる。ただし、ぶつかったりすると簡単に倒れてしまうので、人が頻繁に通る場所や子供やペットには近づけないように注意したい。
ラクティブエアにはどんなアクセサリが付属されてるの?
ハタキ以上にかゆい所に手が届く「はたきノズル」がすごい
最近の高価格帯のコードレス掃除機には、床だけでなく、卓上、布製品、布団、車内など、様々な箇所の掃除ができる専用ノズルが付属されていることが魅力となっている。しかし、ラクティブエアには、家具の隙間や窓のサッシのような狭い箇所の掃除ができる「すき間ノズル」と、ハタキのように対象物に付着した埃を除去できる「はたきノズル」の2点のみと付属品は少ない。
ただし、ラクティブエアに同梱されている「はたきノズル」は、同社の従来製品や他社の製品では見かけない特徴を持ったノズルとなっている。ノズルの付け根と根元の2箇所に角度を変えられる回転部があるので、家具などの卓上やキーボードのような凸凹した箇所の掃除だけでなく、壁や天井のような高い場所も効率よく掃除ができた。
さらに、クーラーの上に溜まった埃の掃除も、椅子などに乗らなくても掃除することができ非常に楽ちん。さらには、高い場所を掃除するときに持ち上げる本体や延長管の質量がが他社製品より軽いので、高い場所も軽い力で掃除することができ、床以外の場所もこまめに掃除をする人にはメリットは大きい。
ラクティブエアの音の大きさってどのくらい?
強モードの運転音は壁の薄い集合住宅では気になる点かも?
コードレス掃除機で気になるのがゴミを吸引するときの音だ。実はキャニスター掃除機には静音性が優れた製品が多く存在するが、現在、各メーカーから販売されている高価格帯のコードレス掃除機には、運転音にウェイトをおいた製品が存在しないのが現状。掃除機は午前中や夜中にかける人や、ご近所さんの生活音が聞こえる集合住宅に住んでる人もいるので、コードレス掃除機の運転音を重視するユーザーも少なくない。
ラクティブエアはとことん軽量化を追求した製品なので、「運転音がうるさくないか?」などの不安があったが、その不安は的中した。ラクティブエの吸引モードは「標準モード」と「強モード」の2種類があり、吸引力が強い強モードで掃除をすると笛を吹いたような甲高い独特な音が響きわたるのだ。この甲高い音は同社のFREEDでも感じられたが、ラクティブエアはそれよりうるさく感じた。
騒音値を測定できる測定器で運転音の大きさを測ってみると、標準モードが(83dB)、強モード(85dB)という結果になった。こうして稼働音を聞き比べてみると同年に発売されたFREEDが静かに感じるほど。ついでに運転音が大きいといわれているダイソンの製品と比較してみると、強モードの騒音値は同じくらいであるが、やはり「ピー!」という独特な甲高い音がするので、「キーン!」という音がするダイソンの製品より不快に感じた。
強モードの稼働音は大きな音をだしても近所迷惑にならない一軒家では気にならないが、お隣の生活音が聞こえるようなアパートなどで使用すると、躊躇してしまうほど大きな音がするので、毎日強モードでは掃除がしにくい。一方、標準モードの方だと静かに掃除ができるので、毎日掃除をする場合は、普段は音の静かな標準モードで掃除をして、みっちり掃除をしたいときは、近所迷惑にならない時間帯に強モードで掃除をすればよいのではないだろうか。
ちなみに、標準モードは強モードより吸引力が弱くなるといっても、ラクティブエアの吸引力に掲載している動画を見ていただければわかるが、毎日フロアの上に発生するお菓子の食べこぼし、埃、髪の毛などは軽く吸い上げるパワーがあるので、毎日の掃除は標準モードでも十分である。
まとめ
シャープが2016年12月に発売した新しいラクティブエアシリーズのEC-A1Rは、イエローとピンクの2色をラインアップ。最大の特徴は、そこまでやるかと突っ込まれそうなくらい追求した「軽さ」。その軽さは、他社のハイエンド機に比べると、本体重量はずば抜けて軽い1.5kg。その他に、バッテリーを急速充電することができることと、本体を好きな場所に収納しながら充電ができる利点がある「セパレートチャージ方式」を採用。また、予備バッテリーを用意できるのも嬉しい。付属品の卓上から高い場所の掃除も軽々できる「はたきノズル」も魅力的。短所は強モードの運転音がどの製品よりもうるさいこと。
販売予想価格は蔓延であるが、このモデルは付属品が少なく機能が制限されており、吸引力はFREEDと同等であるが、ハイエンドタイプとローエンドタイプの中間機種という感じがしたので、2017年内に3万円台まで落ちると予想している。この記事に書いていること以外に、何か分からないことやご質問等がありましたら、お気軽に「お問い合わせフォーム」からお問い合わせください。シャープが販売しているスティック型コードレス掃除機の性能や付属品がひとめでわかる性能比較表は下のボタンからどうぞ。