低価格で高機能な「IC-SLDC1」
アイリスオーヤマのIC-SLDC1は、2015年2月に発売されたハンディタイプのスティック型コードレスクリーナーである。IC-SLDC1はローエンドモデルなのでお求めになりやすい低価格ではあるが、ハイエンドモデルのように本格的な掃除はできない。しかし、フローリングのような平たい床面やちょいがけ掃除が得意なので、キャニスター掃除機やお掃除ロボットのサブ機としては最適である。
これまで販売してきた従来モデルと比べると、手に負担がかからないほど質量が軽く、衛生的かつ簡単にゴミが捨てられる紙パック式を採用しているため人気があるようだ。また、テレビCMで宣伝したり、UUUM(ウーム)のユーチューバーが同製品を紹介しているところを見ると、従来機種より販売に力を入れているようにうかがえる。
同じ電圧(10.8V)のコードレス掃除機だと、マキタの「CL100D」「CL102D」が有名であるが、これらのモデルに比べるとデザイン性が優れており、また、「ほこり感知センサー」「ターボモード」「吸込口に収納されている便利ブラシ」が搭載されいていることから、価格のわりに高機能な印象をうけた。
Image | 型番 | 製品重量 | 集じん方式 |
IC-SLDC1 | 約1.3kg | ●ダストパック式 ゴミ捨ての際に埃を舞いあがらない フィルターのお手入れ不要 | |
ESC-7DCK | 約2.0kg | ●カプセル集じん ゴミ捨ての際に埃が舞い上がりやすい フィルターのお手入れが必要 |
従来モデルとの違い
同社はこれまで14.4Vのバッテリーが搭載された、コードレス掃除機のみを販売していたが、長時間掃除をしていると、重さで手に負担がかかりやすかった。また、集じん方式は「カプセル集じん」を採用しているため、ゴミ捨て時に埃が舞い上がりやすいうえ、フィルターのお手入れにも手間がかかる短所があった。
一方、IC-SLDC1は10.8Vのバッテリーを搭載しているので、吸引力は従来機種より劣るが、質量が軽いため長時間掃除をしていても手に負担がかかりにくい。また、集じん方式はダストカップ(紙パック式)を採用しているので、ゴミ捨て時に埃を舞い上がらせることなく簡単に捨てられるうえ、目詰まりしたフィルターをお手入れする必要もなくなった。
IC-SLDC1の重さ
1.5Lのコーラーより軽いから、手に負担がかからない
IC-SLDC1は、従来モデルと違い、モーターを小型高性能ファンに変更、さらにニッケル水素電池から、より高効率なリチウムイオンバッテリーに変更したことにより、質量は約1.3kgと0.7kgも軽くなっている。”業界最軽量クラス“と謳っているだけあり、この掃除機が我が家に届いたとき、ダンボールの箱に掃除機が入っているとは思えないほどの軽さであった。
実際に手にとって使ってみると非常に軽く、小さい子供から力の弱いお年寄りでも軽々と使えるような重さであった。ただし、同電圧(10.8V)のマキタや日立工機のコードレス掃除機に比べると若干重たく感じた。家の測定器で測ってみると、アイリスオーヤマの「IC-SLDC1」は1.32kg、わたしがよく使うマキタの「CL100D」は約1.13kgと、約200gの差があった。ただし、同じ紙パック式の「CL102D」は、「CL100D」より、約200g重くなるためほぼ同じ重さである。
IC-SLDC1の吸引力
毎日、床に落ちている髪やほこりの掃除やちょいがけに最適
IC-SLDC1には、電圧の低い10.8Vのバッテリーが搭載されているため、当たり前であるが、大手家電メーカーの18Vや21.6Vのバッテリーが搭載されている高級タイプの製品に比べると吸引力はかなり劣る。
しかし、ターボモードに切りかえると、通販生活で新しく発売されたCL103DXに匹敵するほど強いものであった。さらに、このターボモードは約12分間もつかえるので、当サイトで紹介しているマキタの10.8Vシリーズの強モードと同じ運転時間である。
サイクロンストリームヘッド
このサイクロンストリームヘッドは、一般的なノーマルヘッドと違い、吸込口で縦方向のサイクロン気流を発生させているため、微細なゴミも巻き上げて吸い上げるようだ。公式ページでは、ダストピックアップ率99%と記載されている。”(JIS C 9802)に定められている「ちりやほこり等」除去能力」操作方法に準拠した当社試験。硬い床からのじんさい除去能力を測定。”
実際に吸込口でサイクロン気流が発生しているのか、当サイトでは検証することはできないが、このヘッドはダイソンのヘッドのように、ヘッドと床の隙間が非常に狭い設計になっており、また、ヘッド吸込口の幅が今までわたしが見たどの掃除機よりも狭くなっていた。このように空気流入路をせばめていることから、吸込口の空気流速は一般的なヘッドより強くなっているのではないだろうか。
IC-SLDC1はローエンドモデルに位置する掃除機なので、ヘッドにはモーター駆動で回転するブラシは搭載されていない。そのため、カーペットやラグのような床面の場合、表面のみのゴミしか取れず、繊維の奥深くに入り込んだゴミをかきとる能力は低い。
しかし、フローリングや畳のような平たい床面に落ちているゴミであれば、IC-SLDC1でも十分吸い取れる能力があるので、毎日床から「埃」「髪の毛」「ペットの毛」を吸いとる用途や、お菓子の食べこぼしなどを吸いとる「ちょいがけ用」としては最適である。
サイクロンストリームヘッドの欠点
上の動画を見ていただければ分かると思うが、ヘッドと床の隙間が狭い設計になっているため、少しでもカサのあるようなゴミや束なっているゴミだと、ヘッドを前に動かす動作では、ヘッドの前面で前に押しだしてしまう。なので、ゴミに対してヘッドをかぶせながら吸い取らなければいけない。
IC-SLDC1は10.8Vの製品の中だと吸引力が強い部類なので、ゴミに対してヘッドをかぶせる動作でもストレスをためることなく吸いとることができた。しかし、ペットの餌や砂のような固形のゴミだと吸いとることが苦手のようだ。これくらいのゴミであれば、マキタの10.8Vシリーズでも吸いとれるので、吸引力の強いIC-SLDC1でも吸いとれるはずなのだが…
そこで、マキタのヘッドを装着してペットの餌や砂を吸いとってみると、サイクロンストリームヘッドでは吸いとれなかったゴミを吸いとることができた。つまり、固形のゴミを吸いとれなかったのは、吸引力が弱いのではなく、標準装備されているサイクロンストリームヘッドに問題があるようである。
家のフロアには、カサのあるゴミが床一面に落ちているわけではないので、掃除中にヘッドをゴミに対してかぶせながら吸いとるシーンはほとんどない。そのため、毎日、床に落ちている埃、髪の毛、ペットの抜け毛を掃除する用途や、ちょいがけ用のサブ機としては最適である。しかし、カサのある固形のゴミをメインで吸いとる場合は、同じ価格帯であれば、電動工具メーカーのモデルのほうがおおすすめである。
IC-SLDC1の吸引モード
マキタの通販生活モデルに匹敵する「ターボモード」
IC-SLDC1の吸引モードには、「自動モード」「標準モード」「ターボモード」の3種類がある。わたしは、ゴミの量に合わせてパワーが弱くなったり、強くなったりする自動モードが嫌いなので、ずっとターボモードで掃除をしていた。
ターボモードは、同じ電圧(10.8V)のマキタの通販生活モデルにも搭載されているが、ほぼ同等の吸引力があった。さらにターボモードの連続使用時間は、約12分と他メーカーに比べると長いので、わたしは検証中はターボモードオンリーで床の掃除をしていた。
毎日、定期的に掃除をしていれば、ターボモードで充電がなくなる前に、3~4部屋は掃除することが可能であった。ターボモードの吸引力は、10.8Vの製品の中では強い部類にはいるので、ストレスをためることなく掃除することができた。
床に落ちてるゴミの量に合わせてパワーを自動調整する「自動モード」
自動モードでは、床に落ちているゴミの量に合わせて吸引力を自動で調整してくれるため、節電効果があり、最長約30分使用可能なようである。(ゴミの量やフロアの種類に左右されるため、実際は30分ももたない。)
実際に床にオガクズをまいて掃除をしてみると、オガクズを吸い取っているときは吸引力が強くなり、綺麗に吸い終わると吸引力が弱くなったので、ちゃんとほこり感知センサーは、働いているようである。
ほこり感知センサーの位置を確認してみると本体の吸込口の下側にあった。ここを通過するゴミをセンサーで判別しているため、このセンサーにゴミがついていると、誤作動をおこしてしまうことがあった。そのため、定期的にティッシュや綿棒などで掃除をしたほうがよいだろう。
緑:ほこりが少ない 吸引力が弱くなります | 緑:ほこりが少ない 吸引力が弱くなります |
床が綺麗になったら信号のように教えてくれる「ほこり感知センサーランプ」
IC-SLDC1は低下価格なため機能が制限されていると思いきや、従来モデルに搭載されている「ほこり感知センサーランプ」は健在であった。ほこり感知センサーは床に落ちている目にみえない埃・チリがきちんと吸い取れたのかランプで教えてくれるかしこい機能である。このモードはどの吸引モードでも働きます。
ほこり感知センサーランプは、床に落ちているゴミの量が多いと赤色に点灯し、きちんとゴミが掃除できたら緑色に点灯する。センサーランプは手元にあり、大きくて明るいので信号のように目立ち確認がしやすかった。このセンサーランプは、お掃除が楽しくなるだけでなく、神経質な方や目の悪いお年寄りにも便利な機能である。
IC-SLDC1の集じん方式
埃を舞い上がらせることなく手軽に捨てられる「ダストパック式」
従来モデルはカプセル集じんであったので、消耗品の購入費用がかからない利点があったが、ゴミを捨てる際にどうしても埃が舞い上がる欠点があった。また、フィルターが目詰まりすると吸引力が低下するため、定期的に面倒なダストカップやフィルターのお手入れをしなければいけなかった。
IC-SLDC1の集じん方式はダストパック式になっており、このダストパックは紙パックのように消耗品になっているため、ゴミを捨てる際に埃を舞い上がらせることなく、簡単かつ衛生的にゴミを捨てられるアドバンテージがある。また、フィルターが目詰まりしても、新しいダストパックに取り替えればいいだけなので、面倒なダストカップやフィルターのお手入れをする必要もない。
埃の漏れ対策
ダストパックはバックホルダーにある4つのクリップに差し込むだけなので、簡単にダストパックを着脱できるメリットがあるが、ずいぶんと接続が簡易的なので密閉性は低いように感じる。また、掃除している途中に抜けたり、ゴミが飛散したりしないか不安であった。
実際に使ってみるとダストパックが抜けたことはないが、取り付け方が悪かったのか埃が漏れていることが何度かあった。緩んで隙間があかないように輪ゴムで固定するようにしてからは、埃が漏れることはなくなった。また、ダストパックセットをセットするときにもダストパックが抜けにくくなった。
ダストパックの入手方法
ダストパックはデフォルトで25枚付属されており、すぐにはなくならないほど大量に入っている。また、このダストパックは、Amazonや楽天市場でも普通に販売されているため、ネットで買い物をする人にとっては比較的入手しやすいものである。
ダストパックの型番は「FDPAG1414」、約400円ほどで25枚付属されているようだ。ちなみにマキタの紙パック(A-48511)は、約500円ほどで10枚しか付属されていないので、アイリスオーヤマのほうが消耗品にかかる購入費用は経済的である。
一体型ブラシノズル
吸込口に収納されてるから、その場でノズル交換できる
従来モデルのように、差し込み式のブラシノズルの場合、ブラシノズルが必要になったときに、ブラシを収納している場所まで取りに行き、差し替えなければいけなかった。また、こういう使用頻度の高いノズルは無くしてしまうことも多々あり、必要なときに見つからなくて困ったことがあった。
IC-SLDC1は本体差込口にブラシノズルが収納されており、ノズルの側面を握ってクルッと回すだけで、必要に応じて手間をかけることなくハンディクリーナーとして使うことができる。また、ブラシノズルは本体の吸込口と一体化しているので、無くなる心配もなく、いざというときに探し回る必要もなくなり大変便利である。
ブラシノズルは、腰の強いブラシが配置されているため、フィルターやキボードのような入り組んだ場所の掃除に大変便利である。また、家電や卓上に溜まった埃を床用ヘッドで掃除をすると傷がついてしまうことがあるが、ブラシノズルは、柔らかいブラシで埃を掻きだしながら吸い取るため傷がつかない。
壁置きパーツ
壁に立てかけて収納できる
一般的にハンディタイプのコードレス掃除機を壁に立てかけて収納する場合、専用のスタンドを購入しなければいけなかった。また、壁に立てかけて収納ができるホルダーが標準付属されているメーカーもあるが、ネジを使って壁に固定しなければいけないため、壁に穴を開ける必要があった。そのため、賃貸等で壁にあけられない環境の場合、掃除機を壁に立てかけて収納することができなかった。
壁や柱に穴をあけなくても取り付けれる
IC-SLDC1の本体裏側には磁石が埋め込まれており、鉄板入りの壁置きパーツを使用することで壁や柱に立てかけて収納することが可能だ。また、埋め込まれれている磁石はかなり強力なので、冷蔵庫や鉄製の家具にもひっつけて収納することができた。さらに、この壁置きパーツは、粘着シート(両面テープ)で壁に固定できるため、壁に穴をあけなくても固定することが可能だ。従って、IC-SLDC1は、専用スタンドを購入する必要もなく、また、壁に穴をあけられない環境でも立てかけて収納することが可能である。
この粘着シートは強力で、剥がしても粘着跡がつきにくいようだが、もし、粘着シートを剥がしたときに壁や柱に粘着跡がついた場合、消しゴムで字を消すように落とせば、簡単に粘着跡を綺麗はがすことができるので、ぜひ試してみてください。
壁に立てかけながら充電できる
IC-SLDC1は本体にバッテリーが内蔵されているので、充電アダプタのプラグを本体に差しこんで充電しなければいけない。この充電アダプタのコードを壁置きパーツの溝に通して固定することができるため、壁に立てかけて手軽に充電することが可能であった。ちなみに充電アダプタのあまったコードを巻きつけることができる「コードリール」も付属されており、このパーツも両面接着シートで壁に固定することが可能。
残量が少なくなるとお知らせしてくれるバッテリーランプ
安価なコードレス掃除機はバッテリーの残量がなくなると、何の前触れもなく突然モーターが停止することがあった。そのため、掃除の途中であった場合、また何時間もかけて充電してから掃除をしなければいけなかった。
IC-SLDC1はバッテリーの残量が少なくなってくると手元にあるバッテリーランプが点滅してお知らせしてくれる。そのため、掃除の途中であった場合でも、あわてて掃除をするようにうながしてくれるので、掃除の途中で残量なくなることはなかった。
IC-SLDC1のバッテリー交換方法
簡単に交換できる内蔵バッテリー
掃除機本体にバッテリーが内蔵されている場合、メーカーのサービスセンターに本体を持ち込んだり、発送しなければならず、また、その際に、バッテリー代だけでなく、修理費用も請求されるので、経済的にバッテリーを交換することができない。
IC-SLDC1は本体にバッテリーが内蔵されているが、プラスドライバー1本でバッテリーを取り出すことができるため、メーカーのサービスセンターに本体を預ける必要がない。そのため、掃除機を預ける期間がかからないうえ、単品販売されているバッテリーを購入すれば経済的にバッテリーを交換することが可能である。
バッテリーの型番と入手方法
IC-SLDC1に内蔵されているバッテリーの型番は「CBL1015」である。このバッテリーは、Amazonや楽天市場などで「超軽量コードレススティッククリーナー用充電バッテリー」という商品名で販売されているため、誰で容易に手にいれることが可能だ。
バッテリーの交換のしかたは、本体後部のバッテリーカバーを固定しているネジをプラスドライバーで緩めてバッテリーカバーを下にスライドさせて外します。
次にバッテリーを少しだけ引き出し、バッテリーに繋がっているコネクターを取り外します。コネクターが外れたらバッテリーを本体から引き出します。取り付け方は逆の手順を踏みます。