まずはじめに、クリーナーヘッドから吸い込んだ肉眼で見える大きなゴミは、クリアビンの壁面に反ってぐるぐる回り続けるか、クリアビン底に落ちて回収されます。ダイソンの集じん方式はサイクロン方式なので、遠心力によって空気とゴミが遠心分離されています。
クリアビン内で分離できなかった空気中に舞うような超微細なゴミは、シュラウド(メッシュ部分)を通り抜け、くぼみの部分から上部のサイクロン部分に流入します。シュラウドが配置されていることで、クリアビン内で回収された大きなゴミや髪の毛等は飛散してもサイクロン部分まで侵入できません。
シュラウドを通り抜けた微細なゴミは、上部に配置されている複数のサイクロンコーンまで到達しますが、ここではさらに強力な遠心力が発生しているため、サイクロン内部を螺旋状に回りながら下のクリアビンに落ちていきます。
このサイクロンコーンは円錐形になっていて、直径が小さくなるとスピードが50%増すので、下のほうでは音速を超えています。ここではクリアビンで発生していた遠心力より、さらに強い遠心力が発生しているため、浮遊するような微粒子も分離され、フィルターが目詰まりしにくく、強い吸引力が持続するというわけです。
サイクロンコーンで遠心分離された微細なゴミはクリアビンの中心にある赤い筒を通って下に落ちていきます。ここに回収されたゴミは密閉されているので、外から見ることはできません。
大きなゴミを回収したクリアビンの外側に微細なゴミを戻してしまうと、クリアビン内で飛散すると、またシュラウドのメッシュを通りぬけてしまうからです。
このため、実は謎粉言われる細かいゴミ(ハウスダスト)は、中央の赤い筒にたくさん溜まっていて、これはゴミを捨てるときにしか見えないのです。
筒内部のゴミは静電気で樹脂部に付着するような微細なゴミなので、ゴミ捨て時にクリアビンの蓋を開ける前にサイクロンの頭を軽く叩きゴミを落とします。
話を戻して、放射状に配置されたサイクロンコーンまできた空気は上へ向かって流れていきます。空気はゴミより軽いので、壁面を圧することなく楽に外へとでていかれます。
フィルターの内部から外側に通過
サイクロンから楽々と外にでていった空気は、筒状のフィルターの上部の隙間から内部に流れていきます。空気はフィルターの外側を通って内側には流れていっていくと勘違いしている人が多いかもしれませんが、実はフィルターの内側から外側へと流れでてきます。このため、フィルターの外側は汚れにくいです。フィルターが汚れやすいので、目で確認することができないフィルターの内側です。
ダイソンのフィルターの分解方法
フィルターの上部には3つの爪があり、3箇所の爪を押しながら上方向へと引っ張ると、実は分解することが可能です。動画だと分かりにくいかもしれませんが、フィルターの内部は少し薄汚れていました。逆さまにした状態で軽くコツコツと叩くと、強いGをかいくぐったエスパーなゴミ達が落ちてきます。
音速より速い遠心力が発生しているので、目に見えるゴミがフィルターに到達することはありえないことですが、なんらかの原因でゴミが減速したのか?、サイクロンコーンの真ん中の上から通り抜ける空気に捕らえられたようです。
排気が臭う場合はフィルターの中をよく洗ってみよう
もし、フィルターをマニュアル通り水洗いても、ダイソンの排気が臭う場合は、フィルターの外側より内部を入念に洗ったほうがよいと思います。メーカーは推奨していませんが、アルカリ性の洗濯洗剤で手洗いしてから、酸性のワイドハイターなどに5分ほど浸けておくことで無臭になります。
わたしみたいに何ヶ月もフィルターを掃除しないものぐさな人がいると思いますが、たまにはフィルターを抜き逆さまにして、固いところにコンコンと軽く叩きつけてみましょう。おそらく目詰まりしていた粉じんが落ちてくるはずです(フィルターは分解しなくてもゴミが落ちてきます)。
この粉じんが排気が臭くなる原因なので、排気が臭う場合は、前述した方法でフィルターを洗浄しましょう。サイクロン内部にも粉じんは大量に付着しているので、定期的にブロワーなどで吹き飛ばすことをおすすめします。サイクロンを取り外して水洗いできると、こんなメンテする必要はないんですけどね。
フィルターが目詰まりしにくい掃除機はダイソン
このフィルターは4ヶ月使用しているのに、一回も水洗いしたことがありません。それなのにたったのこれだけしか詰まっていないので、やはりダイソンの分離能力はどのサイクロン掃除機よりも優れていると思います。
他のサイクロンもどきの掃除機だと、作業場の大鋸屑を吸い取ると、1回の掃除でフィルターが目詰まりして吸引力が落ちるのが分かります。
わたしが最初にサイクロン掃除機が嫌いだったのは、円錐形の複数のサイクロンが搭載されていない偽サイクロン掃除機を使っていたからです。