壁に穴をあけずにダイソンを立てかけて収納する方法
収納ブラケットは壁に穴をあけないと壁に固定できない
日本ではなじみの深いキャニスタータイプの掃除機が全盛期をむかえた後、2014年頃から手軽にサッと掃除ができるスティックタイプのコードレスクリナーが人気となり市場を拡大。今では、マキタのようにちょいがけ用に便利なローエンドタイプの製品だけでなく、ダイソンのように本格的な掃除ができるハイエンドタイプの製品が家電量販店にズラッと並んでいることからも、その人気がうかがいしれる。
しかし、メーカー各社のラインナップには、本体を立てかけて収納できる充電台を壁に穴をあけてネジ止めしなければいけない製品も存在する。ダイソンもそんな問題をかかえたメーカーで、同社のモデルには掃除機本体を立てかけて収納+充電ができる「収納用ブラケット」が付属されているものの、収納ブラケットは壁にネジ止めする必要があるため、壁に傷をつけられない賃貸住宅では使用が難しい。
そこでこの記事ではダイソンの収納用ブラケットを壁に穴を開けずに固定する方法や、付属されている専用ツール(アタッチメント)を1ヶ所にまとめて収納する商品を紹介したい。
ディアウォールを使って柱(壁)を立てるまき
壁に穴をあけずに簡単かつ省スペースに柱を立てられるから、壁に傷をつけられない借家でも安心
コードレス掃除機を立てかけて収納できずに困っている人も多いと思うが、壁に傷をつけずに簡単に柱を立てられる「ディアウォール」を使って自作スタンドを作ってしまえば、その悩みは一瞬で吹き飛んでしまう。これほど低価格かつシンプルな専用スタンドは他にはないだろう。
ディアウォールとは、ホームセンターで販売されているSPF(2×4材)の両端にパッドをはめ込むだけで、ネジ・釘を使わずに柱を床と天井に突っ張ることができるツールだ。パッドの中には強力なバネが入っているため、つっぱり棒のようにしっかりと固定することができる優れもの。
また、左の画像のようにディアウォールにフックをつければ、壁に穴をあけずに時計・カバン・衣類などをかけたり、2本の柱を立てれば板を渡して「棚受け」を使用すれば、小物の収納に便利な「壁面棚」を作ることも可能だ。中には、ディアウォールを利用して壁を作ってしまう人もおり、DIYユーザーにとって人気商品となっている。
ディアウォールに使用する格安「SPF(2×4材)」を用意する
SPFとは、どこのホームセンターにも販売されている定番の木材である。木の種類はやわらかい「パイン」「スプルース」「ファー」などの針葉樹が使われているため、安価で販売されているうえ、加工がしやすいのでDIYユーザーにも人気が高い材料の1つだ。
SPFには色々なサイズがあり、ディアウォールに使うサイズは2×4。2×4材とは木材の規格サイズ(幅89mm×厚み38mm)を表しており、2×4工法(建築工法)の家を建てる際に使われる材料の1つだ。人の力で折ることはできないほど太く丈夫になっている。
基本的に2×4材のような角材は丸太から製材されるが、鉋がけされていない荒材の場合、材料の表面がザラザラしているため、ささくれが手に刺さったり、角で手を切ったりすることがある。このため、材料が荒材だと表面がさらさらになるように鉋をかけたり、サンドペーパーで研磨しなければいけないのだ。
一方、SPFは、製材された材料をプレーナー(自動鉋)にかけているため、木肌は鉋がけされたようになめらかになっている。また、尖った角も面取り(丸く加工)されているため、ささくれなどが手に刺さって怪我をする必要もない。このため、前述した荒材のように表面を鉋掛けしたりヤスリがけする必要はない。
長さ(ft) | 長さ(mm) | 価格 |
6フィート | 1820mm | 300円前後 |
8フィート | 2438mm | 500円前後 |
10フィート | 3050mm | 700円前後 |
どれくらいの長さで切ればいいの?(壁の高さ - 45mm)
2×4材の長さには上記の規格がある。わたしがよくDIYで使う6フィートの長さが約1800mmなので、柱を設置する天井の高さが1845mm以上ある場合は、8フィート(2438mm)の長さのものを選ぶ必要がある。
もし、近くのホームセンターに8フィートの長さが置いていなければ、2本の2×4材を継ぎ合せることができる「2×4アジャスター」を使うとよいだろう(後述)。2×4材を接合する方法は他にもあるのだが、電動工具などが必要になるため割愛したい。
まず、床から天井までの長さをメジャーで測り、天井の高さから45mm短い2×4材を用意する。例えば、柱を突っ張りたい天井の高さが1800mmの場合は、45mmを引いた1755mmで切断。木材を切断できるノコギリを持っていない場合は、カットサービスを行っているホームセンターで2×4材を購入するとよいだろう。店舗によってカット料金は異なるが、1カット100円前後ほどで機械で真っ直ぐに切断してくれる。
ディアウォールはつっぱり棒のような構造になっており、上側のパッドには強力なバネが入っているので、パッドにはめこんだ2×4材を押し戻そうとする。このため、2×4材を多少短く切断してしまって強度が弱くなったとしても、パッドの中に付属されているスペーサーや厚紙などを敷けば、バネの力を強められしっかり固定することができるので安心だ。
設置は誰でも簡単にできる?
天井の高さより40mm短い2×4材を用意し、上下のキャップを両端にはめ込んで突っ張るだけなので、誰でもできるほど簡単だ。また、収納用ブラケットもドライバー1本でネジ止めすることが可能。一般的な木造の家の柱に使われている桧より柔らかい材質なので、電動ドライバーがなくても、手回しドライバーでネジ止めすることができる。
コードレス掃除の本体質量は2〜3kgほどなので、収納用ブラケットを固定する木ネジは長さ1.5cm〜2cmくらいのもので十分だろう。もし、力がなくて手回しドライバーでネジを締め付けられない場合は、100円ショップで販売されているような錐(キリ)を用意し、あらかじめ下穴を開けておくことで、力を入れずにネジを締め付けることができる。
ちなみに、電動ドライバーは安価な物で3000円前後で販売されていたりする。電動ドライバーがあれば、フォスナービットやホールソーなどの先端工具を使えば、コードを通す大きな穴も開けられるので、さらに見栄えが良くなることだろう。
ダイソン以外のスティックコードレス掃除機も収納できる?
2×4材の幅は89mmあり、ほとんどのメーカーの壁掛けホルダーは細長いタイプなので、柱にしっかり固定することができる。ちなみに、ダイソンV8の収納ブラケットは幅が9.4mmあるので、2×4材より少し幅広くなるが、特に違和感なく固定することができた。ちなみにV6の収納用ブラケットの幅は、2×4材にぴったり収まるサイズとなっており、V6以前のシリーズの収納用ブラケットの幅も同じサイズとなっている。写真のモデルは左からダイソン(V8)→ダイソン(V6)→パナソニック(iT)→東芝(トルネオvコードレス)→シャープ(FREED)
天井を破損させないための注意点
床と天井に柱を突っ張る前に、ディアウォールの上キャップにはバネが内蔵されているので、2×4材がどこまで押し込めるのか、あらかじめ目立たないところに印をつけておくことをおすすめする。なぜなら、その印まで2×4材を押し込んだ状態で、無理に柱を垂直に突っ張ろうとすると、天井が破損してしまう可能性があるからだ。特に天井の材質が破損しやすい石膏ボードや木の家は注意したい。
1500円という低価格でお洒落に収納できた
ホームセンターまで長物の2×4材(SPF)を買いにいく手間がかかるものの、材料代を含め、約1500円という低価格でコードレス掃除機専用のスタンドを自作することができた。ここ最近、高機能タイプのコードレス掃除機を立てかけて収納できるスタンドが各メーカーから販売されているが、ここまで低価格かつ省スペース+高い安定力で収納できるものはおめにかかれない。
写真で使用しているディアウォールは「ホワイト」だが、現在、ディアウォールのカラーは「ライトブラウン」「ダークブラウン」「ホワイト」の3色が用意されているので、部屋にあった色を選ぶことも可能になった。
LABRICO「2×4 JOINT」
8フィート(2438mm)の2×4材が売ってなくて高さが足りないんだけど?
ホームセンターによっては、8フィート(2438mm)の長さのSPFを置いていないところもあるようで、「6フィート(1800mm)の2×4材では天井まで届かないから、ディアーウォールを使って柱を立てられない。」という問い合わせをいただいた。
そこで、平安伸銅工業株式会社のLABRICOシリーズから販売されている「2×4 JOINT(ジョイント)」という商品を購入してみた。このジョイントを使えば、2本の2×4材を縦方向に継ぎ合わせることができるようだ。つまり、長い8フィートの2×4材が手に入らなくても、短い6フィート(1820mm)の2×4材を2本を用意すれば、高い天井の部屋にも柱を立てることができる優れもの。
ちなみに、LABRICOは「2×4 JOINT(ジョイント)」のほかに、「ディアウォール」と同じ2×4材を床と天井に突っ張ることを目的としたアジャスターを販売していたので、今回はディアーウォールではなく、「2×4 ADJUSTER(アジャスター)」を装着して、柱を立てることにしてみた。
LABRICOのアジャスターの特徴は、バネが付いたネジを回して固定するクランプ式になっているので、ディアウォールより前後の力にも強くなっている。さらにディアウォールを販売している若井三業と同じように、棚を作れる「棚受け」なども別販売しているので、今後、ディアウォールにとって競合メーカーになると考えられる。
イメージ | 会社名 | 商品名 | 切断する長さ |
平安伸銅工業 LABRICO | 2×4 ADJUSTER | 95mm | |
平安伸銅工業 LABRICO | 2×4 JOINT 中間ジョイント | 26mm | |
若井三業 | ディアウォール | 45mm | |
若井三業 | ディアウォール専用 中間ジョイント | 0mm |
どれくらいの長さで切ればいいの?
2×4材の両端にLABRICOの「2×4アジャスター」を装着すると(95mm)、2本の2×4材を接合するLABRICOの「2×4ジョイント」を装着すると(26mm)長くなる。従って、天井の高さから(95mm+26mm)短い2×4材を用意する必要があった。
若井三業の「ディアウォール」とLABRICOの「2×4ジョイント」を組み合わせる場合は、天井の高さから(45mm+26mm)短い2×4材を用意。
追記:現在は若井三業からも2本の2×4材同士を接合できる「ディァウォール専用の中間ジョイント」も販売されており、こちらは2本の2×4材の両端を合わせて接合するため短く切断する必要はないようだ。継ぎ目の仕上がりはLABRICOよりごつく、ネジ12本を止める必要があった。
アジャスターとジョイントの取り付け方
2×4アジャスターもディアウォールと同じで、2×4材の両端に差し込むだけなので、かんたんに柱を立てることができた。
上キャップはディアウォールと違い、ネジとバネで高さを調整できるジャッキ式になっていた。調整ネジを回すことにより18mm伸ばすことができるので、安定感重視の場合、材料を切断するときにディアウォールより神経質にならなくてよかった。ただし、きつく締めすぎると天井が破損するので注意。
2×4ジョイントには2つのパーツが入っており、それぞれを2×4材同士を接合する端にのせ、ネジで4箇所を固定しなければいけない。ネジは電動ドライバーを使えば力をかけずにすぐに締め付けられるが、2×4材は柔らかいので手回しドライバーでも締め付けることができた。もし、力がなくて最後まで締め付けられない場合は、錐で下穴を開けてから締め付けるとよいだろう。
2つのパーツをネジで固定したら、それぞれのパーツを噛み合わせるようにスライドさせれば完成。1本の材料で立てた柱にくらべるとしなりやすくなるものの、接合部はネジの頭などが露出せず気にならない仕上がり。
樹脂製のジョイントで接合したので、1本の材料で作ったものよりしなりやすくなったが、「2×4アジャスター」と「2×4ジョイント」を使って、短い2×4材同士を接合して柱をつっぱることができた。ジョイント部分もさほど目立たないし、逆にアクセントとなっていい感じになった。
写真のものは「オフホワイト」だが、「ブロンズ」「ヴィンテージグリーン」の3色が用意されているので、和室や洋室に関係なくどんな壁の色にも合わせやすい。
たくさんのアタッチメントをディアウォール(2×4材)に収納する方法
「Dyson 収納ホルダー」をつかえば1ヶ所にまとめて収納できる
●一箇所にまとめて収納できるから場所をとらない
●本体と同じ場所に収納できるから使いたいツールをすぐ取り付けられる
●DIY感まったくなしでアタッチメント収納部を設けられる
●床用モーターヘッドも収納できるAbsoluteに対応
ラブリコ(2×4アジャスター)やディアウォールを使ってダイソンのクリーナーを立てかけて収納できるようになったものの、収納用ブラケットにダイソンに付属されているアタッチメントを2つしか収納することができないため、収納しきれない他のアタッチメントを別の場所に保管しなければいけないのだ。このため、使いたいアタッチメントを取り付けるときに掃除機を収納しているところですぐに着脱できなかったり、アタッチメントを保管する収納スペースをとられて不満を抱いている人も多いのではないだろうか。
そこでLANMUというメーカーが販売している収納用ブラケットのアタッチメント収納部を拡張できる「ダイソン 収納ホルダー」なるものを購入してみた。基本的にアタッチメントを2つ収納できる「収納用ブラケット」には、標準付属されている「すき間ノズル」と「コンビネーションノズル」を差し込んでいる人が多いと思う。この収納用ホルダーを収納用ブラケットに差し込むと6つのアタッチメントを収納できるようになるため、他の使用頻度の高いアタッチメントも1ヶ所にまとめて収納することができる優れもの。
今回使用したものは上のLANMUの収納ホルダー。アタッチメントを簡単に着脱できる「スムーズフィット機構」が採用されている比較的新しいモデルに対応している。色は収納用ブラケットやアタッチメント同じなので違和感なく収納することができた。
同社からは「スムーズフィット機構」が採用されていない従来モデルにも対応した収納ホルダーも販売している。2015年以前にダイソンから発売されたモデルを使用している場合は、V6専用の収納ホルダーを選びたい。
ダイソンにスタンド付きモデルが登場
直販限定モデルにV10スタンド付きモデルがラインナップ
この記事を書いた2015年にはダイソンから本体を立てかけて収納できるスタンドは登場していなかったが、2018年にV10シリーズから本体と付属されているアタッチメントをすべて収納できる直販限定モデル(SV12FFOLB)がラインアップ。このモデルは本体と延長管が赤いV10Fluffyに標準付属の「スキマノズル」「コンビネーションノズル」「ミニモーターヘッド」に加え「ハードブラシ」「アップトップアダプター」「延長ホース」「フトンツール」「ミニソフトブラシ」すべての専用ツールが付属されている。フロアだけでなく、布団・家電・家具・車内と幅広く掃除したい人におすすめのモデルとなっている。
V11シリーズにスタンド付きモデルがラインナップ
2019年に発売されたV11シリーズには掃除機本体を立てかけて収納できるスタンド付きモデルがラインナップ。充電ドックが同梱されているモデルは「V11 Fluffy+」「V11 Absolute」「V11 AbsolutePro」の3機種となり、本体を立てかけた状態で収納しながら充電が行える。V10の直営限定モデルに付属されていたスタンドと違い、ストレートパイプを着脱せずに収納できるのは高ポイントだが、ツールクリップを支柱に取り付けてもアタッチメントを3つまでしか収納できないのがネックとなる。その他のアタッチメントを収納したい場合は、上で紹介した収納ホルダーを使用するとよいだろう。
予算を抑えたい場合は社外品のダイソン専用スタンド
ディアウォールやラブリコを使ってスタンドを自作するのが面倒だったり、スタンド付きのモデルが割高に感じる場合は、誰でも簡単に組み立てられる既成品のダイソン専用スタンドの購入がおすすめである。現在、多くのメーカーがダイソン専用のスタンドを販売しており種類が豊富、当サイトでは使用した中でおすすめのスタンドを別記事で紹介。また、ダイソンの付属品(スタンド等)がひとめでわかる性能比較表も作成、気になった方は下記のリンクからどうぞ。