「先発 リョービ」と「後発 マキタ」の違い
2015年にリョービから発売されたスティックコードレスクリーナー(BHC-1800)に標準付属されていた「サイクロンユニット」。このアタッチメントは本体と延長管のあいだに接続することにより、サイクロン方式にすることが可能。紙パックに侵入するゴミが軽減するため、吸引力が低下しにくくなるメリットを得られるのだ。
床用ヘッドから吸引した空気とゴミを遠心分離することにより、フィルターが目詰まりしにくくなったり、ゴミ捨てやお手入れも簡単になることから、他メーカーの製品に装着して使用するユーザーが増えるほど人気となった。現在はアマゾンや楽天市場などで単品販売しているショップも少なくない。
そして、2018年にマキタからもリョービと同じ構造の「サイクロンアタッチメント」が後追いで発売された。一見、どちらも同じようなフォルムをしているが、双方に違いがないか調べてみることに。ちなみに、リョービが発売する前から、サイクロン方式に変える類似商品は海外メーカーから発売されていたと記憶している。
実勢価格の違い(どっちがお買い得?)
「現在(2月)価格はどれくらいするのだろうか?」わたしがよく利用するAmazonや楽天市場で直近三ヶ月の最安値を調べてみた。マキタのものは最近発売されたのでデータが少ないが、つい最近Amazonで3,024円、楽天市場で2,538円で販売されていたようだ。一方のリョービの最安値はAmazonで3,818円、楽天市場で3,441円であった。
現在のところ価格を重視するのであれば安価なマキタのほうがおすすめである。しかし、こういった便利なものが、生活家電を紹介する大手サイトなどで紹介されると、すぐに品薄状態となり価格が跳ね上がる場合があるので、購入を考えているのであれば早めに入手しておきたいところだ。
最近だと、マキタから発売されたCL107FD。この10.8Vのスティックコードレスクリーナーは、価格comでイチオシとして紹介されたことにより、品薄状態が続き市場から姿を消した。去年、価格が2~3万円台まで高騰する日が長く続いたため、入手できない人が多く続出した。
構造の違い(どっちが目詰まりしにくい?)
ダストケースやユニットの色は違うものの、どちらも非常に似たものとなっている。構造は単純に工場に設置されてある巨大な粉体分離器を超小型化にしたようなものだ。ダイソンのような2段式サイクロンと比べるとゴミの分離率は落ちる構造であるが、ちゃんと吸い込んだ空気とゴミを遠心力を利用して遠心分離する仕組みになっている。
実際に使ってみても、どちらも吸い込んだ大半のゴミを遠心分離することができ、本体側にゴミを侵入させなかった。吸引力が落ちにくくなり、面倒なフィルターお手入れの頻度が劇的に減るメリットはかなり大きい。また、先細ったダストケースをゴミ箱の奥に入れながらゆっくりゴミを落とすことが出来るため、埃や塵も舞い上がりにいのは高ポイント。
集じん容量の違い(どっちがゴミを溜められる?)
わたしの調べ方が悪かったのかもしれないが、仕様ではリョービのほうがゴミを溜められる集じん容量が大きかった。しかし、リョービのダストカップのゴミ捨てラインまでペットのトイレ砂を入れて後、その砂をマキタのダストケースに移してみると、ごみ捨てラインまで少し余裕があった。このことから集じん容量はリョービよりマキタのほうが少し上であることがわかる。
ただし、わたしの使用経験によると、ゴミ捨てラインまでゴミを溜めて使用していると、中で飛散した微細なゴミが本体側に侵入しやすくなるためフィルターや紙パックが目詰まりしやすくなる。そのため、掃除が終わるたびにこまめにゴミ捨てを行うわたしにとって、リョービの集じん容量の少なさはさほど気にならなかった。
重さの違い(どっちが軽いの?)
双方のアタッチメントの重量を測ってみると、マキタが(356g)、リョービが(298g)であった。従って軽さを重視する場合はリョービのアタッチメントを選んだほうがよいだろう。
マキタのゴミを溜めるダストケースはボタンを押すことによりワンタッチで着脱できること、中央に配置されたメッシュフィルターを取り外せること、ぐらつかない安定力を配慮した結果が重さに現れたのではないだろうか。
安定感の違い(どっちがグラつかないの?)
他メーカーのスティック掃除機に装着して使用しているときに気づいたが、マキタのアタッチメントのほうが延長管がグラつかない安定感があることに気がついた。安定力に差がでるのは、本体に差し込むユニットの管の長さが関係しているようだ。マキタのほうが接合部分のかぶりが長いため、ヘッドを前後に動かしたときにリョービほど延長管がグラつかないのだ。また、掃除の途中で抜け落ちることも一切なくなった。
わたしが掃除機を選ぶポイントは「使い勝手」や「ゴミ捨て」を重視するので、この差は個人的に大きい。
装着したときの長さの違い(どっちが使い勝手がいいの?)
マキタのCL140FDを床に置いて全長を測ってみると988mm。そして、各社のサイクロンアタッチメントを取り付けて全長を測ってみると、マキタ(1,122mm)、リョービ(1,127mm)となった。使い慣れたスティック機の全長が伸びると使いにくくなるため、より短いほうを選びたいところだが、双方の差はたったの5mmと気になるような違いではなかった。
延長管を短く切断して加工する場合、サイクロンユニットに差し込む側を切断してから、薄く研削しなければいけないため、電動工具を持っていない一般人には加工が難しいことだろう。双方のメーカーからショート管が販売されていればよいのだが…調べてみたところ、現在短いショート管を販売している国内の電動工具メーカーは日立工機(0033-2716)のみのようだ。
ダストケースの着脱方法の違い(どっちがゴミ捨てしやすいの?)
最初に発売されたリョービのサイクロンユニットのダストカップはくるりと回転させて着脱しなければいけなかった。一方、マキタのダストカップは上部にある2ヶ所のボタンを押さえながら取り外すことができる。
個人的にリョービのものは発売当初から使い続けて慣れているので、着脱方法が回転式の着脱が手間とは感じないが、初めて使う人にはマキタのボタン式のほうが使い勝手がよいだろう。
ちなみに以前、Amazonなどでさらに安く販売されているPLATAのサイクロンユニットを購入したが、着脱方法はリョービと同じ回転式だったが、ダストカップがリョービのものより外れやすくおすすめしない。
ゴミの見え方の違い
キャニスター掃除機やコードレス掃除機の集じん方式にサイクロン方式を採用しているダイソン。実はダイソンの製品のレビューを見ていると、クリアビン(ダストカップ)が透明なため、「中のゴミが見えて不快だ」という批判レビューが存在する。
個人的にはこまめにゴミ捨てを行うため、中のゴミが見える見えないはあまり気にならないのだが、ダストカップの中のゴミが見えるのが嫌な人は、ダストカップがすりガラスのようになっているマキタのものを選んだほうがよいだろう。
上の写真は双方のダストカップの中に同じネズミのおもちゃを入れたものだが、リョービは中のネズミがはっきり見える無修正に対して、マキタはネズミにモザイクがかかったよう見え方をしていることがわかると思う。
メッシュフィルターの違い(どっちがお手入れしやすい?)
どちらのサイクロンユニットにも中央に「メッシュフィルター」が配置されている。ダストケースに取り込まれた空気とゴミは遠心力によって内筒の壁をぐるぐる周りながら下に落ちていく。そして、ゴミより軽い空気だけが中央上部に配置されているメッシュフィルターから本体側へと突き抜けていくのだ。このメッシュフィルターに大きな違いはなかったが、後発で発売されたマキタのほうはくるりと回すことにより取り外すことができた。
わたしは何度かリョービのサイクロンアタッチメントの水洗いを行ったことがあるが、一番汚れているパーツはメッシュフィルターが配置されているユニットである。ユニット内部に粉じんがこびりついているようなので、何度も水洗いしても泥のような水が流れてくるのだ。このことから、メッシュフィルターを取り外せるマキタのほうが見えない部分を洗いやすいので、丸洗いが簡単だと考えられる。(水洗いはどちらも可能です)
他メーカーに流用できるのか?(日立やBOSCHにもつけられる?)
現在、同じ集じん方式をサイクロン式に変えるアタッチメントを販売している国内の電動工具メーカーは、「リョービ」「マックス」「マキタ」の3社。スティック掃除機のシェア数が多いマキタやリョービのものが売れている感じだ。
アタッチメントを取り付けて使用することにより、「吸引力が低下しない」「フィルターのお手入れが楽」になるなどのメリットがあることから、このアタッチメントを他社のスティックコードレス掃除機に使用したいユーザーも多いことだろう。
過去に調べたことがあるが、わかりやすく表にまとめてみたので参考にしていただければ幸いです。
基本的にどのメーカーも延長管は何の加工もせずに接続することができた。ただし、(テープ必)と記載しているメーカーはユニットの接続部分にテープを巻いて微調整する必要があった。どんなテープでもかまわないが、できれば耐久性の高いビニールテープのほうがよいだろう。テープは本体差込口に入る全ての部分に巻いておかないと、グラついて安定感がなくなったり、使用中に抜けたりするので気をつけされたし。
●マキタ-サイクロンアタッチメントのレビュー記事はこちからどうぞ
●リョービ-サイクロンユニットのレビュー記事はこちからどうぞ