毛絡み防止クリーナーヘッドの登場
大小のゴミを同時に吸い取るソフトローラークリーナーヘッドの登場
ダイソンが2014年に発売したDC74は、“大小のゴミを同時に吸い取る”がウリの「ソフトローラークリーナーヘッド」を初搭載。同社の現行機種に標準装備されているクリーナーヘッドもこのモデルがベースになっており、居住空間の狭い日本に適応した進化(小型・軽量)を遂げています。
ソフトローラークリーナーヘッドはカーペットの掃除が苦手
しかし、ソフトローラークリーナーヘッドは、カーペットにおける集じん性能が低い欠点が存在します。柔らかい「ナイロンフェルト」と「カーボンファイバーブラシ」を組み合わせたブラシバーでは、カーペットの奥深くに入り込んだ微細なゴミや、頑固に絡みついたペットの毛を掻き出す掃除力はありません。
カーペットの掃除が得意なダイレクトドライブクリーナーヘッドの登場
そんな欠点もあってか、ダイソンから2015年に発売されたV6シリーズには、カーペットからしっかりゴミを掻き出せる「ダイレクトドライブクリーナーヘッド」を付属したモデルがラインナップされました。このヘッドは2021年に発売されたV12/V15シリーズの一部モデルにも付属されています。
「ダイレクトドライブクリーナーヘッド」は、カーペットの深部から微細なゴミを掻き出したり、カーペットに絡みついた毛髪やペットの毛を掻き取る集じん力が高い特長を持っています。このため、カーペットを敷いている面積が広い住環境や、ペットと生活している家庭に最適なパワーヘッドとなります。
ブラシにゴミが絡みつきやすいダイレクトドライブクリーナーヘッド
しかし、ダイレクトドライブクリーナーヘッドにも欠点があります。パワフルにゴミを掻き出してくれる硬いブラシに髪の毛やペットの毛が絡みつきやすいため、掃除後にクリーナーヘッドのお手入れをしないといけないのがネックでした。
我が家では長毛猫を飼っていて、家の一部にカーペットを敷いているのですが、カーペットからハウスダストや猫の毛を掻き出す集じん力はなかなかのもの。しかし、カーペットを掃除した後に毛絡み除去のお手入れが待っているので、文句なしの仕様とは言えませんでした。
毛絡み防止ブレードを搭載したダイレクトドライブクリーナーヘッドの登場
コロナ禍でペットを飼う家庭が増えた昨今、毛が絡みにくいパワーヘッドがトレンドになっています。ダイソンもこの局面で毛絡みを防止するパワーヘッド(Motorbar™クリーナーヘッド/Digital Motorbar™クリーナーヘッド)を付属したモデルを既存シリーズ(V12/V15)から新しくラインアップしました(V12とV15は2021年に発売されたシリーズです)。
ここでは、毛絡み対策されたV12用の「Motorbar™クリーナーヘッド」と、V15用の「Digital Motorbar™クリーナーヘッド」を実際に使って分かった違いを分かりやすく解説します。
「Motorbar クリーナーヘッド」と「Digital Motorbar クリーナーヘッド」の比較
絡みついたゴミをほどく「コーム型ブレード」の本数
2022年に新しくラインアップされたV15 Detect Completeには「Digital Motorbar™クリーナーヘッド」、V12 Detect Slim Completeには「Motorbar™クリーナーヘッド」が付属されています。どちらも従来のダイレクトドライブクリーナーヘッドと同じ硬いナイロンブラシを採用しているので、カーペットやラグからゴミを掻き出す集じん力が高い特長を持っています。
どちらも毛絡み対策として、ブラシに絡みついた髪の毛やペットの毛をほどいてくれるコーム型のブレードを搭載しています。ブレードの数は「Digital Motorbar™クリーナーヘッド」が56本と多く配置していますが、43本の「Motorbar™クリーナーヘッド」でも普段使いでゴミがほどけないことはほとんどありませんでした。
ブラシの回転速を自動調整する「Dyson DLS™テクノロジー」の有無
Digital Motorbar™クリーナーヘッドには、Dyson DLS™(Dynamic Load Sensor/ダイナミック ロード センサー)システムが搭載されています。DLSが回転するブラシバーにかかる抵抗を検知してフローリングとカーペットとでブラシバーの回転スピードを自動調整します。
ゴミが集じんしやすい硬いフローリングや畳ではブラシバーの回転速度は通常のままですが、深部に入り込んだゴミを掻き出しにくいカーペットでは回転速度が速くなるので、効率の良い掃除ができるうえ、バッテリーの節電効果も得られます。
「ブラシパワー」の違い
Motorbar™クリーナーヘッドよりDigital Motorbar™クリーナーヘッドのほうが、ブラシパワーが強くなっています。
このため、モーターのトルクが強いDigital Motorbar™クリーナーヘッドは、ブラシバーに強い抵抗がかかるカーペットやラグを掃除した際、回転ブラシが減速しにくかったり、停止することが起きにくくなり、ゴミを効率よく除去することができます。
ただし、Motorbar™クリーナーヘッドのブラシパワーもなかなか強力なので、カーペットの毛足が長くなければ、回転ブラシが減速したり・停止することもなく、しっかりゴミを集じんしながら吸引することができます。
「重量」の違い
Digital Motorbar™クリーナーヘッドより、Motorbar™クリーナーヘッドのほうが軽くなっています。また、本体重量もV12のほうがV15より軽くなっているので、ヘッドを上げ下げするシーンが多くなる日本の居住空間では、Motorbar™クリーナーヘッドのほうが腕にかかる負荷が軽減されます。
ただし、Digital Motorbar™クリーナーヘッドには後述するスライドスイッチが搭載されているので、ヘッドに強い負圧が働く床では、Motorbar™クリーナーヘッドより、Digital Motorbar™クリーナーヘッドのほうが軽い力でヘッドを前後に滑らせる場合があります。
ヘッドにかかる負圧を調整できる「スライドスイッチ」
左 | 汚れが目立つカーペットや上部なラグ |
真ん中 | 一般的なカーペットやフローリング |
右 | 毛足の長いカーペットや繊細な敷物 |
「Digital Motorbar™クリーナーヘッド」には、ヘッドの前側中央部に吸引力を調整できる赤いスライドスイッチがあります。モードは上記の3段階に調整可能で床のタイプや汚れ具合によって、スイッチを手動で動かします。
スライドスイッチを動かすことで、ヘッド前側にある2箇所の開口部を開けたり閉めたりすることができます。開口部を開けた状態にすると、ヘッドにかかっていた強い負圧が抜ける効果があったので、わたしは基本的に開口部をずっと開けた状態にして使っています。
なぜなら、ヘッドにかかる負圧を抜くことで、軽い力でヘッドを前後に動かせるようになるからです。開口部を開けて使用していると、カーペットやジョイントマットが強い吸引力で持ち上がらなくなるため、ヘッドをスムーズに動かせるようになりました。
また、開口部を開けることで、ヘッドの前面で押し出してしまっていた固形のゴミも吸引できるようになります。新しいクリーナーヘッドはダイレクトドライブクリーナーと同様にヘッドと床との隙間が狭い設計のため、ペット用の砂や餌をヘッドの前側で押し出していましたが、開口部から苦手だったゴミを吸引できるようになり、ヘッドを交換する手間から解放されました。
Digital Motorbar/Motorbar クリーナーヘッド 違いのまとめ
Motorbar™クリーナーヘッド | モデル | Digital Motorbar™クリーナーヘッド |
V12 Detect Slim Complete | 採用シリーズ | V15 Detect Complete |
250×99×65(mm) | サイズ(幅×奥行×高) | 250×120×65(mm) |
675g | 重量 | 795g |
16.2V/50W | ブラシパワー | 17.2V/100W |
43本 | ブレード | 56本 |
❌ | Dyson DLS | ⭕ |
❌ | スライドスイッチ | ⭕ |
どちらも毛絡み除去のお手入れ頻度が大幅に軽減されるので、人気の軽くて強いV12 Detect Slim Completeがおすすめです。ダイソンの中から最も吸引力が強いモデルを選びたい場合は、重量が重たくなりますが、V15 Detect Completeが適しています。付属されているクリーナーヘッドがひとめで分かるダイソン一覧表は下記のリンク先からどうぞ。
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