コードレス掃除機やお掃除ロボットの影に隠れはじめたキャニスター掃除機
キャニスター掃除機より売り上げが伸びているコードレス掃除機
2013年頃から、高級タイプのキャニスター掃除機の売り上げが伸び悩む中、コードレス掃除機の売り上げが伸び続け需要が高まっています。従来のコードレス掃除機は、吸引力が弱く、バッテリーの性能も低かったので、キャニスター掃除機のサブとして使われていました。そのためキャニスター掃除機は一家に一台は必要なものでした。
しかし、2013年のダイソンのDC35が注目を浴びたことにより、どこの家電メーカーも高級タイプのコードレス掃除機を市場に投入しています。この高級タイプはリチウムイオンバッテリーとハイパワーなモーターを搭載しているので、従来のコードレス掃除機よりバッテリーが高寿命になり、吸引力も強くなっています。
高級タイプのコードレス掃除機といえど、吸引力はキャニスター掃除機と比べると劣ります。しかし、標準装備されている床用モーターヘッドは、回転ブラシをモーター駆動で回転させているためダストピックアップ率(ゴミ除去率)が高いので、吸引力が弱くてもキャニスター掃除機に負けないくらいゴミを吸い取ってくれます。
スティック型コードレス掃除機の欠点
連続使用時間が短いから広範囲の掃除が苦手
コードレス掃除機は、押入れからの出し入れやコードの差しかえをしなくても手軽に掃除をすることができる特長を持っていますが、バッテリーで駆動するので連続使用できる時間が限られていたり、バッテリーを充電するのにも時間がかかる欠点があります。
モーターやバッテリーの重みが手首に負担をかける
また、本体の重さはキャニスター掃除機より軽くスリムになっていますが、スティック型のコードレス掃除機は、手元に重たい「モーター」「バッテリー」「ダストボックス」が集中している構造なので、広範囲を掃除していると手に負担がかかるという欠点もあります。
ゴミを溜めておける集じん容量が小さい
コードレス掃除機の集じん方式には、フィルター式と紙パック式が採用されていますが、どちらのタイプも集じん容量が小さく、ゴミをたくさん溜めることが出来ません。そのためゴミがすぐに溜まってフィルターが目詰まりしてしまうので、早いスパンでゴミ捨をてないと吸引力が低下します。
■「連続使用時間が長い」
■「集じん容量が大きい」
■「運転音の静かなタイプがある」
まだまだ需要のあるキャニスター掃除機
キャニスター掃除機はコードレス掃除機より吸引力が強く、コード式なので連続使用時間が制限されません。自分の家ではコードレス掃除機のほうが使用頻度が高いですが、やはりみっちりと掃除をしたいときもあるので、定期的にキャニスター掃除機をひっぱりだして掃除をします。
キャニスター掃除機より、コードレス掃除機のほうが売り上げ構成比が上回ったとしても、キャニスター掃除機はコードレス掃除機と比べると、上記のようなメリット(利点)もあるので、広範囲の場所の掃除や大きな音のだせない環境ではまだまだ必要としている方がたくさんいます。
キャニスター掃除機の選び方
主婦の夢を叶えてくれる完璧な掃除機は存在しない
キャニスター掃除機は、様々なメーカーが毎年新しいモデルを発売しているので、どれを購入しようか迷われるかと思います。誰もが、一番軽くて、静かで、ゴミの集じん容量が大きくて、吸引力の強い掃除機を選びたいと思いますが、そんなエスパーな掃除機はどこのメーカーにも存在しません。
例えば、吸引力が強い掃除機を作った場合、吸引力を強くするため強力なモーターを搭載しないといけないので、どうしても本体は重たくなり運転音もうるさくなります。このように、1つの主要スペックに重点を置いているモデルは、必ず他の主要スペックが劣っていたりするので両立することが出来ません。
それぞれ違う長所を持っている各メーカーの掃除機
各メーカーの掃除機は、必ず他のメーカーにはない優れた特長を持っています。「たくさんの掃除機が販売されているのに、なぜこの掃除機を選ばなければいけないのか?」という「売り」が何処のメーカーにもあります。
掃除機を購入する際は、自分の家のフロア、環境、使う人の特性にあった機種を選ぶ必要があります。このページでは、各主要スペックに優れている掃除機のシリーズをまとめているので掃除機選びの参考になれば幸いです。
吸引力の強いキャニスター掃除機は「モーターの日立」
国内メーカーで一番強い吸込仕事率
掃除機と言えばやはり吸引力を一番に重視する方が多いと思います。吸引力の目安となる吸込仕事率が高い掃除機を毎年販売している国内メーカーは日立です。「モーターの日立」と言われるだけあって、毎年、吸込仕事率ランキング上位に君臨しているほど、強い掃除機を販売し続けています。
日立の掃除機はダイソンの4倍の吸引力
吸引力が強い掃除機と言えばダイソンのイメージが強いかと思いますが、ダイソンの新しいモデル「Dyson Ball」の吸込仕事率は160Wですが、最新の日立の掃除機(2015年調べ)は、680Wとダイソンの4倍以上の吸引力があります。吸込仕事率が一番高い掃除機をお探しの場合は日立がお勧めです。
本体の軽いキャニスター掃除機「三菱のBe-K」
女性やシニアの方が軽々と持てる重さ
掃除機をかける人は女性(主婦)の方が多いと思います。女性は男性に比べると力がないので、軽い掃除機を求めている方も多いです。また、母親(シニアの方)に掃除機をプレゼントする場合、軽さを重視する方も多く、本体やヘッドが軽い掃除機は需要があります。
Be-Kシリーズの「K」は軽いのK!
三菱が販売しているBe-Kシリーズ、Beは「ビューティのBe」、Kは「軽いのK」と名前に「軽い」と入っているだけあって、このシリーズはどのラインナップも他のメーカーの掃除機に比べると比較的軽くなっています。わたしはBe-Kシリーズの掃除機を通販で購入したことがありますが、届いたダンボールに掃除機が入っているとは思わないほどの軽さでした。
他メーカーにもBe-Kシリーズと同じくらい本体の軽い掃除機を発売しているメーカーもあると思いますが、ヘッド・パイプ・ホースの重さも合わせると、恐らくBe-Kシリーズのほうが軽いと思います。また、他メーカーの軽量タイプの掃除機に比べると、吸込仕事率も高くなっている特長もあります。
運転音の静かな掃除機は「エルゴスリー」
寝ている人の近くで掃除機をかけても起きない
近所の生活音が聞こえてくるような集合住宅に住まわれている方は、騒音のする掃除機をかける時間帯を気にされるかと思います。近所迷惑にならない時間帯に掃除をかければよいのですが、仕事をしていたりすると掃除をする時間が限られてしまいます。そのため、朝早くや夜に掃除をかけたい人もいるようです。
海外メーカーのエレクトロラックス社が販売しているエルゴスリーというキャニスター掃除機は、静音に重点をおいており、寝ている赤ちゃんが起きないくらい運転音の静かな掃除機です。エルゴスリーの運転音(弱モード)の音の大きさは43dBなので、現在(2015年調べ)販売されている国内メーカーの静音タイプの掃除機より静かです。これくらいの音の大きさだと勉強・仕事をしている人やTVを見ている人の邪魔にならないくらい静かです。
図書館と同じ騒音レベルだから近所迷惑にならない
この動画(1.2)は見本市(Trade Fair)のデモンストレーションを行なった際の動画のようですが、周りの雑音の騒音値が掃除機の騒音値(43dB)を上回っているので、見ている人はスイッチが入っていることに気づいていません。この見本市では周りにたくさん人がいて、雑音や話し声がするので騒音値は43dB以上あるでしょう。このような環境ですと、エルゴスリーのような静音に重点を置いた掃除機のスイッチを入れても周りは気が付きません。
ちなみに静かな部屋でも音の大きさは30dBほどあり、この静かな部屋でTVやクーラーのスイッチを入れたり、会話をしたりすると、音の大きさは40dB~60dB台になります。エルゴスリーの運転音は、43dB~57dBなので同じくらいの音の大きさです。そのため、近所の家や少し離れた場所にいる家族には、耳につくような不快な騒音を聞かせずに掃除することが出来ます。
集じん容量の大きい掃除機は「三菱の雷神」
集じん容積が大きいから紙パックにたくさんのゴミが入る
一般的な掃除機は紙パックの収まる部分が小さいため、紙パックを大きく広げることが出来ません。紙パックの集じん容積が小さい掃除機で毎日掃除をしていると、すぐに紙パックが中がいっぱいになるうえ、吸引力もすぐに低下してしまう欠点があります。
三菱電機が販売している掃除機は「風神」や「雷神」のシリーズが有名ですが、「雷神」のほうのモデルは、集じん容量に重点を置いています。「雷神」は集じん容積が従来機種と比べて約2.4倍もあるので、他のメーカーの掃除機より、紙パックの集じん容量が大きくなる特長を持っています。
紙パックの交換回数が半分以下に
集じん容積が大きくなると、紙パックの集じん容量が増えるので、一度にゴミをたくさん溜められます。そのため、吸引力も低下しにくくなりますし、紙パックの交換回数が半分以下になります。
排気の嫌な臭いが軽減される備長炭配合仕様の紙パックや、抗アレルゲン仕様の紙パックは高価なので経済的に紙パックが交換できる掃除機です。
ゴミの分離能力の高いサイクロン掃除機は「ダイソン」
もっとも吸引力が低下しにくいダイソンのサイクロン掃除機
紙パック式の掃除機の吸込仕事率が毎年あがり続けているのは、紙パックは目詰まりが発生しやすく、100gのゴミを吸っただけで40%の吸引力が低下すると言われています。サイクロン掃除機は吸引した空気とゴミを強い遠心力によって分離してゴミをダストボックスに回収します。そのため、ゴミがダストボックスに溜まっても吸引力が落ちにくいことと、紙パック(消耗品)にお金がかからない2つの特長を兼ね備えています。
フィルターの水洗いは1年にたったの1回ぽっきり
ダイソンのサイクロン構造は、ゴミの溜まるクリアビン(ダストボックス)とシュラウドのメッシュで大きなゴミと不定物のゴミを分離します。次にここで分離しきれなかった空気中に浮遊するような微細なゴミを、上部にある円錐形のサイクロンで分離するので、クリアビンにはベビーパウダーのような粒径の小さなゴミが溜まります。微細なゴミの分離能力がどのメーカーより優れているので、煩わしいフィルターの水洗いは1年に1回程度で済みます。
微細なゴミを分離できない他メーカーのサイクロン掃除機に注意
安価なサイクロン掃除機や他メーカーが販売しているサイクロン掃除機の一部には、ダイソンのように強い遠心力を発生させられる円錐形のサイクロンが搭載されていないモデルがあります。このようななんちゃってサイクロン掃除機は、大きなゴミはダストバックス内で分離できますが、複数の円錐形のサイクロンが搭載されていないので、空気中に浮遊するような微細なゴミを分離する能力はほとんどありません。
なんちゃってサイクロン掃除機は、複数の円錐形のサイクロンが備わっていないので、微細なゴミをフィルターで直接受け止めています。そのため、フィルターがすぐに目詰まりを起こし吸引力も低下してしまうので、掃除をするたびにフィルターのお手入れをしなければいけません。小麦粉のような微細なゴミを吸引するとあっという間に紙パックと同じように目詰まりしてしまいます。
ダイソンのキャニスター掃除機は高価なので、もし予算の都合等で、他メーカーのサイクロン掃除機を購入するのであれば、ダイソンのルートサイクロンのように2~3重構造になっているサイクロン掃除機を購入することをお勧めします。中には一流メーカーの製品でもゴミの分離能力が低いモデルもあるみたいなので、レビューをよく見て選んだほうがよいと思います。
キャニスター型のコードレス掃除機
コード式掃除機と小型コードレス掃除機の欠点
コード式のキャニスター掃除機は、本体を収納場所から出し入れすることと、コードを抜き差ししなければいけないので、掃除をするのに手間がかかります。また、広範囲の掃除を移動しながら掃除をすると、コードが家具や壁の角等に引っかかったり、部屋を移動する度にコードを差し替えないといけません。
現在、流行ってきているスティック型のコードレス掃除機は、コードがなくコンパクトなので、キャニスター掃除機のように手間をかけることなく気軽に掃除が行える利点がありますが、構造上、大きなモーターやバッテリーを搭載できないので、キャニスター掃除機に比べると吸込仕事率が低かったり、連続使用時間が限られていて広範囲の掃除には適していない欠点があります。
カバンのような掃除機だから面倒くさい一連の作業がなくなる
シャープが販売しているEC-DX100は、キャニスター型のコードレス掃除機なので、上記で書いたコード式キャニスター掃除機や、スティック型コードレス掃除機の欠点を解消している掃除機です。コードレスなので、コンセントに抜き指しするコードがなく、連続使用時間も46分と長いので、一回の充電で手間をかけることなく広範囲の掃除をすることが可能になります。
また、この掃除機はダストボックスにゴミが溜まってきたり、バッテリーの残量が無くなると喋ってお知らせしてくれます。スティック型コードレス掃除機より、本体は重たいですが、重たいモーターやバッテリーが搭載されている本体を床に置きながら掃除ができるので、スティック型のコードレス掃除機より手に負担もかかりにくく女性やシニアの方にもお勧めです。
ちなみにパナソニックは、コードとバッテリーが使えるハイブリッド方式のサイクロン掃除機を販売しています。