「VC-CL300」「VC-CL1300」の特徴
従来モデルと同じ重さなのに、使いやすくなった新モデル!ブロー機能も追加!
東芝ライフスタイルは、「トルネオV コードレスシリーズ」第三弾となるスティック型コードレス掃除機「VC-CL300」と「VC-CL1300」を2016年9月に発売した。
従来モデルの「VC-CL1200」は、メイン掃除機として使えるパワフルかつ高機能なハイエンドタイプの製品の中で「軽い操作性」で人気があったが、今回新しく発売されたモデルは従来モデルと同じ重量になっているだけでなく、ハンドル形状や重心のバランスを最適化することにより、さらに軽い操作性にこだわっている。上位モデル「VC-CL1300」には、これまでの製品になかったブロー機能も追加されている。
「VC-CL300」と「VC-CL1300」の違い
同社が新しく発売したトルネオV コードレスシリーズには、「VC-CL300」と「VC-CL1300」の2種類がラインアップされており、今回、筆者は「VC-CL1300」を購入することにした。新発売された2機種は本体側の仕様は同じとなっており、双方の違いは色と付属品(アタッチメントやノズル)となっている。従って、「VC-CL300」と「VC-CL1300」の「吸引力」「稼働時間」「重量」「操作性」「お手入れのしやすさ」は同じなので、「VC-CL300」を購入する方も、こちらのレビュー記事を参考にしていただければ幸いです。
「VC-CL300」の付属品(ノズル)は、標準装備されている「モーターヘッド」に加え、「すき間ノズル」「丸ブラシ」しか同梱されていないため、床と卓上の掃除がメインであれば、価格の安い「VC-CL300」を購入したほうが経済的である。一方、コードレス掃除機一台で床や卓上の掃除から、寝具・棚・車内の幅広い掃除や、窓サッシ・玄関・家具に溜まった砂・埃を吹き飛ばしたい場合は、「ふとん用ブラシ」「エアーブローノズル」「延長ホース」も付属されている「VC-CL1300」を選んだほうがよいだろう。
「VC-CL300」と「VC-CL1300」の重量
メーカー | モデル | 重量 |
東芝 | VC-CL1300 | 約1.9kg |
ダイソン | V8(Fluffy) | 約2.6kg |
シャープ | FREED(EC-SX520) | 約2.4kg |
パナソニック | iT(MC-BU500J) | 約2.2kg |
高級モデル(ハンディタイプ)中で一番軽いから、長時間掃除をしても手首が痛くならない
「VC-CL300」と「VC-CL1300」の重さは、本体に延長管とヘッドを装着した状態で1.9kgと、軽さで定評のあった従来モデルと同じ軽い重さになっている。現在、各家電メーカーからメイン掃除機として使える高価格帯の製品が多く登場しているが、本体に延長管とヘッドを装着した状態で質量が2kgを切っているのは、東芝から2015年~2016年に発売された「トルネオVコードレスシリーズ」の製品のみである。(※2016年9月調べ)
例えば、同じハンディタイプのスティック型コードレス掃除機売れ筋ランキングで上位にランクインしているダイソンのV8フラフィの重さは2.6kg、体感重量が軽くなるマジックバランスを採用しているシャープのFREEDが2.4kg、今年発売されたモデルの中でわたしが軽いと思ったパナソニックのiTの重さが2.2kgと、人気のモデルや軽さで定評のあるモデルと比べても、東芝の「トルネオVコードレスシリーズ」は、さらに軽量になっている。
Sauce:東芝ライフスタイル
重さが2kg以下だから、ヘッドを上げ下げしても手首が痛くならない
新モデルは「本体」「延長管」「ヘッド」に従来モデルと同じ軽くて丈夫な「グラスファイバー樹脂」を採用しているため、非常に軽くなっている。ハンディ形状(本体)の重さが1.4kg、本体に延長管とヘッドを装着したスティック形状の状態で1.9kgと、2016年10月までに各メーカーから発売された高級モデルの中で一番軽量だ。重心が上にあるハンディタイプの高価格帯コードレスクリーナーで、重さが2kgをきるというのは珍しい。
この重量(1.9kg)は従来モデルと同じ重さであるが、新モデルでは重たいパーツのバランスが最適化されている。支点となるグリップの真下にモーターを配置し、左右に重たいサイクロン部分とバッテリーをバランスよく振り分けらている。この配置バランスで手に負担をかけることなくヘッドを持ち上げられるようになっている。さらに従来モデルより重心をハンドルに約6cm近づけているため、ヘッドを持ち上げたときにかかる手の重荷が約3割少なくなってるという。
Sauce:東芝ライフスタイル
「らくわざフリーグリップ」だから、長時間ヘッドを前後に動かしていても手首や肘がだるくならない
昔から日本の家庭で使われてきた横型のキャニスター式掃除機。掃除機を販売している大手家電メーカーのキャニスター掃除機のハンドル形状は、長年使いやすさを追求した結果、円形状のタイプの製品が多くなっている。東芝のトルネオV コードレスもキャニスター式掃除機と同じ円形状(ラウンド形状)のハンドルを採用しており、ヘッドを前後に動かしても手首や肘を曲げず水平にハンドルを動かすことができるので、手首に負担を軽減させラクに掃除をすることができる。
従来モデル(VC-CL1200)のハンドルも同じ円形状のハンドルが採用されていたが、新モデルではハンドルの湾曲がさらに緩やかになっているため、従来モデルよりグリップ全体を握りやすくなっている。また、ハンドルの断面形状も丸い円形から潰れた楕円形に改良されているため、より軽い力で握れるようになっている。
・本体が重たい
・モーターヘッドが重たい
・重たいパーツ(モーター、バッテリー、集じん部)の配置バランスが悪い
・手首や肘を曲げてヘッドを前後に動かす動作
・ヘッドを上げ下げする動作
手首がだるくなる原因
わたしは、毎日コードレス掃除機を使って部屋、廊下、階段、卓上、ベランダの掃除をしているが、ヘッドを前後に動かして床を掃除しているときに、手首が早い段階でだるくなってくる製品の特徴は、単純に本体の質量が重いか、モーターやバッテリーの配置バランスが悪い製品である。また、掃除の際にヘッドを持ち上げる回数が多いと、手首が早い段階でだるくなってくることも分かった。ヘッドを上げ下げするシーンは、階段、部屋、マットなどの境目の段差をまたぐときと、ヘッドを方向転換させるときである。家を丸ごと掃除した場合、前述したヘッドを持ち上げするシーンが多く、手首がだるくヘッドに搭載されているブラシの種類なる大きな要因となっている。
東芝の新モデルは、現在(2016年/9月)ハイエンドタイプのコードレス掃除機の中で一番軽く、長時間掃除をしていても手がだるくなりにくい製品なので、軽さ重視のハイエンドタイプの製品を探している方におすすめのモデルである。また、コードレスクリーナーを利便性を知り、結婚祝いや親のプレゼントでコードレス掃除機をプレゼントする人が多いようですが、東芝から2015~2016年に発売されたトルネオV コードレスシリーズは、メイン機として使える高価格帯の製品の中で軽い操作性で人気があるので、力のない女性やシニアの方にもおすすめの製品だ。
「VC-CL300」と「VC-CL1300」の吸引力
ダブルのサイクロンで分離しているから強い吸引力を維持できる
従来モデル(VC-CL1200)には、毎分110,000回転する「ハイパワーDDファンモーター」が搭載されていたが、体感では新モデルと従来モデルの吸引力は同等に感じたので、恐らく同じモーターが搭載されているのではないだろうか。標準用の床用掃除ヘッドの回転ブラシも従来と同じものが採用されているので、わたしの新モデルの吸引力とヘッドの集じん力の評価は従来モデルと変わらない。同じ2段式サイクロン構造のダイソンV8と比べると、バッテリーの電圧が低いので、吸引力は少し劣るものの、高価格帯の高級モデルとしては十分な吸引力だと感じた。
上はVC-CL1300で色々なゴミを吸い取った動画であるが、やはり本体だけでなく、延長ホースやヘッドも軽いので、軽い力をヘッドを前後に動かすことができた。また新モデルは「軽い操作性」にこだわっているだけあり、手首を軽くひねるだけでヘッドを左右に曲げられるためヘッドの自由も高い。ただし、吸引力や軽い操作性は満足であるが、ヘッドと床との隙間がわずかしかない設計になっているため、少しでも嵩のあるゴミはヘッド前面で押し出してしまう短所がある。そのため、ゴミに対してヘッドをかぶせるようにしないと上手く吸えないゴミの種類もあった。
ゴミセンサー付き&吸引力を自動コントロールするから、バッテリーを無駄に消費せずゴミを取りこぼさない
また、従来モデルに搭載されていた、床に微細なゴミが落ちていると手元のLEDランプが点灯しながらお知らせしてくれる「ゴミ残しまセンサー」機能も引き続き搭載されているため、床に落ちているゴミを取りこぼすことなく掃除ができる。この他に、「ゴミ残しまセンサー」が反応しないゴミが落ちていない場所だと、吸引力を自動的に弱くコントロールしてくれる「自動モード」も搭載されており、無駄にバッテリーを消費せずに稼働時間を延ばすメリットもある。
モーターヘッドだから微細なゴミを掻きだしながら吸引
新しいモデル「VC-CL300」と「VC-CL1300」の床用ヘッドは同じものが搭載されているため、ヘッドのダストピックアップ率(ゴミの除去率)は同等と考えてよいだろう。標準装備されている床用ヘッドのタイプは、モーター駆動でブラシが高速回転する「モーターヘッド」が標準装備されているため、フローリングの溝に落ちているゴミだけでなく、カーペットに絡みついた髪の毛や奥深くに入り込んだ微細なゴミもかきだしながら吸引することができる。
ヘッドに搭載されているブラシの種類
ハードブラシ | カーペットやフローリングの溝に入り込んだゴミをかきだす | |
セミソフトブラシ | フローリングや畳の表面に落ちている塵・埃を拭き取る | |
ソフトブラシ | カーペット表面に付着している微細な埃を取り除く |
ブラシバーに三種類のブラシが搭載されており、フローリング、絨毯、畳に存在する様々な微細なゴミを取り除くことができる。ちなみに、三種類のブラシの中で一番硬いブラシは赤い「ハードブラシ」は、ダイソンのアニマルプロのモーターヘッドに採用されているブラシより柔らかいので、カーペットで発生する絡みの弱い一部の繊維(遊び毛)を大量にかきむしる心配もない。
「VC-CL300」と「VC-CL1300」の集じん方式
2つのゾーンでゴミを分離しているから、吸引力が低下しにくい
トルネオV コードレスの新モデルは、従来モデル(VC-CL1200)にも採用されていた花粉などの微細なゴミを99%以上分離(東芝)する「バーティカルトルネードシステム」を搭載している。このシステムの集じん方式は、遠心力を利用して空気とゴミを分離する「サイクロン式」になっているため、紙パック式の製品と違い消耗品などの購入費用がかからないメリットがあるので経済的に掃除ができる。
また、サイクロン式を採用している製品には「1段式サイクロン構造」と「2段式サイクロン構造」の2種類があるが、東芝の製品はフィルターが目詰まりしにくい「2段式サイクロン構造」を採用しているため、「1段式サイクロン構造」や「紙パック式」の製品と違い、吸引力が低下しにくくなっている。ちなみに、微細なゴミを大量に吸っても強い吸引力を維持できるダイソンも「2段式サイクロン構造」である。
第一関門 デュアルトルネードの仕事
ヘッドから吸い込まれたゴミは最初にダストカップ内部の壁の曲面(A)と直接接触し、「デュアルトルネード分離」によってグルグルと回転しながら、ダストカップの底部に運ばれる。ここでは打ち出されたパチンコ玉が勢いよく角を曲がるときと同じように、質量を持つゴミは壁の曲面を曲がるときスピードは加速するという物理的法則が発生している。ゴミはこの遠心力で空気から分離され、サイクロンの壁面におしつけられながら落下するため、目に見える大きなゴミは2段目のサイクロン部分に運ばれにくい。ダストカップ底部の圧縮集塵ゾーンでは強い気流で「デュアルトルネード分離」で捕らえたゴミを圧縮。そのため、ゴミ捨て時に埃が舞い上がりにくい。
第二関門 ミクロトルネードの仕事
空気中を浮遊するような微細なゴミは中央のメッシュ部分を通り抜け。2段目に配置されてある8つの円錐形のサイクロン部分(ミクロトルネード)に運ばれる。ここのサイクロンが円錐形である理由は、直径が小さいと回転するスピードが再び加速されるためである。従って、ここでは最初に遠心分離されるデュアルトルネードより、さらに強い遠心力が発生している。この強い遠心力で捕らえられた微細なゴミは(C)の部分に落ち回収される。ここで捕らえ切れなかった超微細なゴミは上部のフィルターに捕集され、フィルターを通過した空気は排気口から排出される。
全てのパーツを水洗いできるから排気が臭くなっても安心
ダイソンが東芝と同じ「2段式サイクロン構造」を採用しているが、ダイソンの製品は、フィルターを水洗いすることは出来るものの、サイクロン部分やダストカップを水洗いが禁止されている。そのため、長年使用しているとゴミの通り道に粉じんが蓄積し、排気から不快な臭いが発生する原因となることがある。「ダイソン 臭い」「ダイソン 水洗い」というキーワードで検索すると分かるが、排気のニオイで悩んでいるユーザーは決して少なくない。
一方、東芝のトルネオV コードレスの新モデルのダストカップは5つのパーツで構成されており、各パーツはワンタッチで簡単に取り外すことができる。全てのパーツ(ダストカップ、サイクロン部分、フィルター等)は水洗いすることが可能なので、ダイソンの製品よりメンテナンス性が高い。ゴミが溜まるダストカップを含め、ゴミが通過するサイクロン部分やフィルターも丸洗いすることができるため、排気の臭いニオイで悩むこともないだろう。
ゴミの捨て方とフィルターのお手入れ
上はダストカップに溜まったゴミを捨てている動画である。ボタンを押すだけで本体からダストカップを取り外し、ダストカップとフィルターを分割できるので、従来モデルと同じでお年寄りや子供でも簡単にゴミ捨てを行うことができるだろう。付属されている「お手入れブラシ」は、ダストカップに収納されているので無くす心配もない。
ゴミ捨てはコップに入った水を流すように捨てられるので埃が舞い上がりにくいが、2段目のサイクロン部分で分離された微細なゴミが回収される場所とゴムパッキン周り、そして、圧縮ゾーンのパーツの底に埃が付着しやすくなっており、ここをお手入れするときに埃が舞い上がりやすい。マニュアルではダストカップに収納されているブラシでお手入れすることを推薦しているが、静電気が発生せずに効率よく埃を除去できるダスター刷毛やペンキを塗る刷毛のほうがおすすめである。
ダストカップとサイクロン部分は従来モデル(VC-CL1200)と同じのようだが、フィルターの表面に目詰まりした粉じんを簡単に掃い落とせるツルツルとした生地が貼られていた。従来のフィルターだと目詰まりした粉じんは水洗いしないと除去できなかったが、新しいフィルターだとダストカップに収納されているお手入れブラシで簡単にフィルターに付着した粉じんを掃い落とすことができた。完全にここでシャットアウトするわけではないが、これなら毎日掃除をしても一ヶ月に一回の水洗いで十分だろう。
ダストカップの分解方法|ボタンを押すだけだから誰でも簡単に分割できる
ダストカップに組みつけられている5つのパーツも簡単に取り外すことができた。メーカーによっては慣れるまでは説明書を見ないと、ダストカップから分割したパーツを組み立てられないことがあるが、新しい東芝のトルネオV コードレスは、1回着脱を行えば次回から簡単に迷うことなく分割&組み立てができた。ボタンを押すだけで「ダストカップ」「ダストカップカバー」「サイクロン部分」を分割できる上、フィルターはメリッとはがすだけなので、お年寄りや子供でも説明書を見ずに分割&組み立てが行えるだろう。
エアブローノズル
ノズルから強い風を吹き出せるエアーブロー機能
新モデルの「VC-CL1300」にだけ、従来モデルに無かった新しい機能「エアブロー機能」が追加されている。「VC-CL1300」には、「布団用ブラシ」「延長ホース」に加え、新しいアタッチメント「エアブローノズル」が付属されており、このアタッチメントを本体下部に装着することにより、強い風を吹き出すことができる。ノズルを掃除をしたい対象物に向けてることでハタキのような掃除をしたり、狭い隙間にたまっている埃から、玄関周りに落ちている砂や枯葉などを吹き飛ばすブロワーのような掃除もできる。
※この「エアブロー機能」は、フルスペックモデルの「VC-CL1300」のみに搭載されており、スタンダードモデルの「VC-CL300」には搭載されていない。新しいトルネオV コードレスを購入する際は注意しよう。
風を吹き出せるから、ハタキやブロワーのような掃除ができる
風を吹き出すと言っても、「VC-CL1300」の風速は約25m/秒と、強い風を吹き出す専用の機械「ブロワー」や「コンプレッサー」のような風速や風圧を発生させることはできない。そのため、枯葉を吹き飛ばせる風力があるといっても、ブロワーのように遠くに飛ばしたり、コンプレッサーのように頑固にこびりついたような埃を吹き飛ばすパワーはない。しかし、置物や家電に付着しているような埃や、隙間ノズルが入らないような狭い場所に溜まった埃を簡単に吹き飛ばす風力を持っており、掃除機で吸引したくないゴミやノズルが届かない狭い場所の掃き出したい場合に最適である。
上の動画は、棚に置いた置物に大鋸屑を付着させてエアブロー機能でゴミを吹き飛ばしている動画である。風力を調整できない「ブロワー」だと風が強力すぎて置物が倒れてしまうため加減が難しいが、「VC-CL1300」のほどよい風の強さだと、置物を倒さずに付着した埃や、狭い隙間に落ちている埃だけを吹き飛ばすことができた。自動モードに切り替えて風力を弱めることも可能なので、掃除したい対象物が倒れやすい場合は自動モードに切り替えたほうがよいだろう。これまで、掃除機本体にブラシノズルを装着して、置物についた埃を一つひとつ掃除した後に、棚板を掃除していたが、エアブロー機能を使えば物を何ひとつどかさずに効率よく掃除ができた。
ちなみに、埃をカメラで映すのがむずかしく可視化をこころみるため、埃の代わり大鋸屑を付着させている。長年、棚の隅などに頑固にこびりついた埃を吹き飛ばすことはできないが、このエアブロー機能があれば、ハタキやブロワーで出来るような掃除ができるため、定期的に床以外の掃除もするようになった。従って、今後は、ブラシを使わないと除去できないようなこびりついた埃が家電や棚に蓄積することもないだろう。
個人的にこのエアブロー機能は大変気に入っており、掃除機が届いたその日は、楽しさのあまり、バッテリーの残量がなくなるまで、家中の壁、家電、棚、家具と家具の間の隙間に溜まった埃を吹き飛ばしていた。ただし、空気中に浮遊するような軽い埃は時間をかけて床に落ちるので、あとで床を掃除する必要がある。また、かなり大量の埃が舞いあがるので、必ず1窓を開けて作業したほうがよいだろう。
コードレス式だから電源の無い車内や屋外でも使える
風を吹き出すことができるエアブロー機能が搭載されたコードレス掃除機は今(2016)のところ、東芝の「VC-CL1300」のみであるが、キャニスター掃除機では、既にエアブロー機能を搭載した製品を三菱電機から登場している「風神」に搭載されている。この「風神」は、「VC-CL1300」より強い風を吹きだすことができるが、コード式のため移動しながらの作業ではコードを抜き差ししなければいけない短所がある。一方、「VC-CL1300」はコードの抜き差しが不要なコードレス式なので、電源のない場所、例えば(屋外・ベランダ・車内など)でも手軽に使える利点がある。
ちなみに、最近のコードレス掃除機には、車内の掃除に便利なノズルを装着できる「延長ホース」が付属されている製品もあり、本体が入らないようなシート下、ダッシュボード周り、ドアポケットの掃除に大変便利である。しかし、VC-CL1300であれば「エアブロー機能」を搭載しているので、車内のドアを全て開け「エアブローノズル」を装着して風で砂埃を吹き飛ばしたほうが隅々まで綺麗になるうえ、効率的に車のお手入れが終わらせることができるだろう。
さらに風力を強める方法
本体の吸込口*1から取り込んだ空気は、(ダストカップ→サイクロン部→フィルター)を通りぬけ、「エアブローノズル」から吐き出されているため、本体からダストカップセットを取り外した状態で、エアブロー機能を使うと風力が大幅にアップした。風速計で風速を測ってみたところ4~5m/秒上昇。ただし、フィルターを介さずに本体から空気を吸い込むため、本体吸込口*2のメッシュ部分に埃が詰まり、ブラシでお手入れする必要があった。説明書には書かれていない方法なので自己責任となる。
追記:上の方法だと目に見えない微細な粉じんが本体のメッシュ部分を通過して「エアブローノズル」から吐き出されるため、本体の内部が汚れないか不安になる人もいるだろう。そこで、ダストカップを取り外してフィルター部分だけ本体に取り付けられるか試したところ、フィルター部分だけを本体に取り付けて固定することができた。この状態でもダストカップとサイクロン部がなくなった分、風路が少なくなっているため、通常の使い方より風の強さが増した。
「VC-CL300」と「VC-CL1300」のバッテリー
従来製品のように、本体とヘッドを分割せずに充電できるようになった
これまで2014~2015年に発売されたトルネオV コードレスシリーズの従来モデルには、本体を差し込んで充電することができる充電スタンドが付属されていた。充電方法は本体から延長管を取り外し充電スタンドに差し込まなければいけないというひと手間がかかるものの、丸ブラシやすき間ノズルを収納することもでき便利であった。
一方、新しいモデルでは充電スタンドで収納&充電する方法は採用されず、壁掛け用ホルダーに本体から延長管を取り外すことなく収納&充電する方法に変更された。本体から延長管と着脱するひと手間がなくなった上に、従来より省スペースで収納できるメリットがあるものの、壁掛け用ホルダーに「丸ブラシ」や「すき間ノズル」を収納できないデメリットも存在する。
付属ノズルを収納する入れ物が必要
フルスペックモデルの「VC-CL1300」には、スタンダードモデルの「VC-CL300」に標準付属されている「すき間ノズル」「丸ブラシ」の他に、「エアブローノズル」「ふとん用ブラシ」「付属品用ホース」も付属されており種類が豊富だ。しかし、これらのノズルは「壁掛け用ホルダー」に収納することができないため、付属ノズルを収納する入れ物を準備しておく必要があった。
壁に穴を開けられない場合の充電方法
また、壁掛け用ホルダーは壁に穴をあけて、ネジで固定しなければいけないため、壁に穴を開けるのが嫌な人や、壁に傷をつけられない賃貸などでは、壁に立てかけて充電することがむずかしくなる。その場合、本体を床に寝かした状態で、充電プラグ差し込んで充電しなければいけない。
どうしても、壁に傷をつけずに立てかけて充電&収納したい場合は、安価で家に柱を建てられる「ディアウォール」を利用してみたり、カラーボックスなどに木製の家具に「壁掛け用ホルダー」を固定してみてはいかがだろうか。ちなみに一部の「マキタ専用のスタンド」にも立てかけることができた。(マキタ専用のスタンドをまとめた記事はこちらからどうぞ)
バッテリーの充電回数は2000回だから、毎日充電しても5年使える
初代から超寿命なバッテリーで定評がある東芝のトルネオV コードレス。本体に内蔵されているリチウムイオンバッテリーの交換目安となる満充放電回数は従来モデルと同じ約2,000回となっている。一般的なリチウムイオンバッテリーの満充放電回数は500回程度というのに対し、2,000回というのは、コードレス掃除機としてはかなり多い。例えば、一般的なコードレス掃除機は、毎日バッテリーの残量を使い切るまで掃除をした後、1日1回満充電した場合、約2年ほどで電池に寿命がくる。一方、東芝の新モデルは前述した使い方をしても、5.4年間使用できる計算となる。
ただし、東芝によると満充放電回数2000回という数字は「自動モード」で繰り返し使用した回数なので、常に強モードで使用し続けた場合、バッテリーの劣化スピードは早まると考えられる。なので、バッテリーをなるべく長持ちさせたい場合は、普段のフロア掃除はゴミの有無で吸引力が自動で切り替わる「自動モード」で掃除をし、カーペットやラグマットなど強い吸引力が必要な場合では「強モード」に切り替えれるように心がけたほうがよいだろう。
バッテリーの交換方法
コードレス掃除機のバッテリーは消耗品のため、使い続けていると必ず寿命が訪れる。新モデルは前述した回数だけ満充放電を繰り返すと寿命が近づいてくるため、バッテリー交換しなければいけない。バッテリーはハンドル下に内蔵されており、背面のバッテリカバーを取り外せばバッテリーを取り出すことができた。しかし、東芝はバッテリーを単品で販売していないため、バッテリーを交換する場合は、製品を購入した販売店か、東芝のサービスステーションに持ち込んで取り替えてもらわないといけない。
技術料 | 約2,100円 |
部品代 | 約13,000円 |
合計金額 | 約15,100(税別) |
バッテリー交換にかかる費用と手間
新モデルのバッテリー交換料金は、同社のサービスステーションに持ち込んだ場合、概算修理料金は上記の通りである。技術料(工賃)がかかる分、バッテリーを自分で交換できるメーカーの製品と比べると、バッテリー交換にかかる費用が少し割高になってしまう。従来モデルのときも感じたが、バッテリーの交換費用が割高な上、持ち込みなどの手間がかかるところは、東芝の残念な部分である。ちなみに、東芝と同じようにバッテリー交換の際に、本体の持込が必要なところは日立アプライアンスの製品もそうである。
ほとんどの競合メーカーは、バッテリーをネットや電話で単品で注文することが可能。例えば、国内メーカーのパナソニックやシャープの製品であれば、新しいバッテリーをネットや電話で注文できるため、自分でバッテリーを交換することができる。そのため、東芝のようにバッテリーの工賃がかからないので、経済的にバッテリー交換することができる。また、本体をサービスセンターや販売店に持ち込む必要がないので、手間がかからないだけでなく、掃除機を預ける期間もない利点がある。
バッテリーの取り外し方
バッテリーはプラスドライバーを使い、背面にあるバッテリーカバーのネジ(2箇所)を外せば取り出すことができた。バッテリーを本体から取り外してから捨てる際は、コネクター(2本)を抜きテープなどで絶縁する必要がある。(※不要になったバッテリーはリサイクル協力店に持ち込めば処理してもらえます。最寄のリサイクル協力店はJBRCのページから検索できます)。