日立初となるハンディタイプのスティックコードレスクリーナー
2017年9月16日に日立アプライアンスのパワーブーストサイクロンシリーズから、新しいスティックコードレスクリーナー[PV-BEH900]が発売された。
これまでパワーブーストサイクロンシリーズからは、重心が足元近くに配置されている「フロアタイプ」のスティッククリーナーのみのラインナップであったが、今回は重心が手元に集中している「マルチタイプ」のスティックリーナーを新たにラインアップ。
PV-BEH900の最大の特長は、本体に家具や狭い場所の掃除に便利な[多彩なブラシノズル]や寝具などの掃除ができる[ミニパワーヘッド]を取り付けることにより、同シリーズのフロアタイプのモデルが苦手としていた場所を立体的に掃除することができるようになった。
また、付属の[スマートホース]と組み合わせることにより、掃除がしにくい車内の掃除場をしたり、手首や腰にかかる負担を軽減しながらフロアや家具などを掃除することができる。なお、PV-BEH900よりアタッチメントの付属が少ないPV-BEH800も同時発売された。
PV-BEH800/PV-BEH900の重量
重さはどれくらいなの?重たいの?
PV-BEH800/PV-BEH900の本体質量は(1.5kg)、本体に延長管とヘッドを装着した重さは(2.1kg)、フロアタイプのPV-BF700より約200gほど軽くなっている。人気のあるダイソンのV8/V10 Fluffyと比べると(480g~510g)ほど軽くなっている。実際に家中丸ごと掃除をしても日立のほうが手に負担がかかりにくく、ヘッドを持ち上げした時も軽い力で持ち上げることができる。
力の弱い女性や年配者の味方「スマートホース」
ただし、軽さを売りにしているシャープの[ラクティブエア]や、東芝の[トルネオV]のシリーズのモデルに比べると本体重量は(200~600g)ほど重たくなり、どうしても複数の部屋の床を掃除したり、ハンディ形状にして家具や階段などを掃除すると手首が痛くなってくる。ハンディタイプのスティック機は手元に重心が集中するので200g以上という差は大きな足かせとなる。
そこで力のない女性や年配の方におすすめなのが[PV-BEH900]にだけ付属されている[スマートホース]である。スマートホースを組み合わせることによって、本体を空いた手で楽な状態で持ちながら掃除ができるのだ。キャニスター型掃除機のように手首に負担をかけずにヘッドを前後に滑らせることができるので、連続使用しても楽に掃除することが可能となっている。
PV-BEH800/PV-BEH900の吸込仕事率
吸引力は強いの?
●ダイソンV8/V10に比べると劣っている
●2018年モデル[PV-BFH900]と同等
●ゴミ除去率は後述するヘッドの性能に左右する
バッテリー(電池)を搭載しているコードレス掃除機は、コード式のキャニスター掃除機と違ってフィルターが目詰まりしやすかったり、バッテリーの残量によってパワー(電圧)が変わりやすいため、日本のほとんどの大手電機メーカーが吸引力の目安となる吸込仕事率を表記していない。
様々なメーカーの製品を使用した管理人の体感では、本体の吸引力は軽い特長を持っているシャープや東芝のモデルより圧倒的に強く、パナソニックのiTに匹敵するくらいのパワーを持っている。ただし、ダイソンのフラッグシップ機に比べるとパワーは明らかに劣っているように感じた。
PV-BEH800/PV-BEH900のモーターヘッドの特徴
[かるふきブラシ]が搭載されているから汚れも拭き取る
緑のブラシ:フローリングから汚れや菌を拭き取る
青いブレード:髪の毛や糸の絡みつきを防止する
PV-BEH800/PV-BEH900の床用ヘッドにはモーター駆動で回転するブラシが搭載されている。どちらも同じパワフルスマートヘッドが標準装備されており、ヘッドの幅やブラシ性能に差はないので、ヘッドのダストピックアップ率(ゴミ除去率)は同等と考えてよいだろう。
[赤いナイロンブラシ]は少し硬めになっており、カーペットから微細なゴミや髪の毛やペットの抜け毛を掻き取る。[緑のナイロンブラシ]は極細になっており、フローリングから汚れや菌を拭き取る。そして、[青いブレード]の素材はポリ塩化ビニルになっており、糸や毛の絡みつき防止する役目があるという。
[シンクロフラップ]で大きなゴミも吸引できる
モーターヘッドには、ヘッドの押し引きに合わせて”フラップ”が開閉することにより大小のゴミを同時に吸引できる[シンクロフラップ]を採用。他の国内メーカーと違い、ヘッドを滑らせる動作で小さなゴミだけでなく大きなゴミも同時に吸引できる特長を持っている。
ヘッドを前方向に押しているときは、ヘッド前面にあるシンクロフラップが開いて大きなゴミを吸引。一般的な掃除機のモーターヘッドが苦手としている比較的嵩のあるゴミもヘッドを滑らせる動作だけで吸引することができる。
また、詳細は後述するが、PV-BEH800/PV-BEH900のモーターヘッドは、ヘッドを引く動作でもゴミを吸引することができ、ヘッドを後方に引いてるときはフラップが閉じて圧力を高めるため吸引力が損なわれにくい。
[ロングローラー]で引くときもゴミを吸引できる
モーターヘッドの後方には、ヘッドを押しても引いてもゴミを吸引することができる[ダブル吸引機構]が採用されている。従来のスタンドタイプのモデルにも採用されており、ヘッドの後ろ側に”ロングローラー”が配置されているので、ヘッドを後ろ方向に引く動作でもゴミを巻き込みながら吸引することができる。一般的な掃除機のヘッドは引きながらゴミを吸引することができないので、効率的に掃除をしたり節電効果にもつながる。
パワーヘッド(回転ブラシ)のお手入れ方法
モーター駆動のブラシを搭載しているパワーヘッドは、髪の毛や糸くずがブラシに絡みつきやすいので定期的にお手入れする必要がある。PV-BEH800/PV-BEH900のパワーヘッドはヘッドの後ろ側にある[レバー]を開くだけで簡単に回転ブラシやロングローラーを取り外すことができる。
絡みついた髪の毛や糸くずはブラシバーの溝に合わせてハサミやカッターなどで切れば簡単に除去することが可能。また、ヘッドの車輪に絡みついたゴミはピンセットなどを仕様して取り除く。回転ブラシとロングローラーを水洗いする場合は、よく水気を切り乾いた布で拭き取れば1日で自然乾燥させることができる。
パワフルスマートヘッドに搭載されてるLEDは明るいの?
PV-BEH800/PV-BEH900に標準装備されているパワフルスマートヘッドには、床に落ちているゴミを照射するLEDライトを搭載。ヘッドの前面にLEDを6灯も搭載しているので、薄暗い場所や家具下のゴミだけでなく、電気がない真っ暗な場所でも床に落ちているゴミがすぐに分かるほど明るい。また、上位モデル[PV-BEH900]に付属されているスマートホースは通電構造になっているため、スマートホースに延長管とヘッドを装着して使用してもLEDタイトは点灯しは床を照射する。
PV-BEH800/PV-BEH900の使用時間と充電時間
[充電時間]や[連続運転時間]はどれくらいなの?
●強モード:約8分(6帖の部屋×4回分)
●標準モード:約40分(6帖の部屋×20回分)
●予備バッテリーを用意すれば使用時間は2倍
●バッテリ仕様:電圧:21.6V 容量:2.5Ah
※畳1枚を20秒で掃除した場合
どのように充電するの?(充電方法)
●充電時は本体を充電台に立てかけて充電する
●充電時に本体と延長管を分割する必要がある
PV-BEH800とPV-BEH900には、本体を立てかけて収納しながら充電することができる[充電スタンド]が同梱されている。わざわざクリーナー専用のスタンドを購入する必要もなく、省スペースに収納できるのはありがたい。しかし、本体と延長管を分割して充電しないといけないので、充電時や掃除を開始するときにちょっとした一手間がかかるのがネックとなる。
バッテリーの交換方法と交換費用
●バッテリーは家電量販店等で取り寄せ可能
●バッテリーの型番はPVB-2125B
●バッテリーの価格は12,000円(税別)
●バッテリーの充電回数は約1,100回(満充放電,20℃時)
同社から販売されているパワーブーストサイクロンシリーズのフロアタイプのモデルは[内蔵式のバッテリー]が採用されている。そのため、バッテリーに寿命がきたときは、日立サービスセンターや家電量販店に持ち込んで修理を依頼し、部品代以外の技術料を支払わなくてはいけなかった。例えばわたしが持っている日立の[PV-BC500]は、近くの日立サービスセンターに持ち込んだ場合、電池の交換修理費用に税別16,000円(部品代12,000円+技術料4,000円)もかかる計算となる。
新しく発売されたマルチタイプのPV-BEH800/PV-BEH900には、[着脱式バッテリー]が採用されており、ワンタッチでバッテリーを取り外すことが可能に。そのため、単品で販売されているバッテリーを購入すれば、わざわざサービスセンターに持ち込んだり、技術料も支払わなくて済むので、手間と時間をかけることなく経済的にバッテリー交換ができるようになった。ちなみに、バッテリーの型番は(PVB-2125B)で価格は税別12,000円で販売されており、家電量販店等で取り寄せることが可能。
PV-BEH800/PV-BEH900の集じん方式
ランニングコストのかからないサイクロン方式
PV-BEH800/PV-BEH900には同社のキャニスターサイクロン掃除機でお馴染みのパワーブーストサイクロンが採用されている。パワーブーストサイクロンはサイクロン室の入口で空気を効率よく加速させて強い遠心力を発生させることで、吸い込んだ空気とゴミを遠心分離。さらに遠心分離したゴミを空気の流れでダストカップ下に圧縮しながら捕集する。サイクロン室とゴミが溜まるところの境目には段付形状が設けられ、ゴミが上部に飛散して吹き戻されるのを抑えるという。
吸い込んだ空気とゴミはサイクロン室で遠心分離され、空気はダストカップ中央に配置されている内筒フィルターのメッシュ部を通り抜けて排気口から排出される。サイクロン室で遠心分離できなかった超微細なゴミは、ダストカップ上部に配置されているクリーンフィルターによって捕集される。サイクロン室では強い遠心力が発生しているため、大きなゴミがメッシュ部分に張り付くことはない。
ゴミの捨て方は簡単なの?
PV-BEH800/PV-BEH900には、同社の従来モデルやキャニスター掃除機にも採用されている[ごみダッシュ]が採用されている。ごみダッシュは、ダストカップの[ゴミ捨てボタン]を押すと中に圧縮されているゴミが勢いよく押し出される機構になっているので、ダストカップ内にゴミが詰まったりすることなく簡単に捨てられることが出来る。
ゴミ捨てはダストカップを本体に取り付けた状態でも捨てられることができるが、ゴミを捨てた際に舞い上がった埃が本体に付着したり、埃の舞い上がりを抑えるためゴミ箱の中に入れながらゴミ捨てが行えないので、本体からダストカップを取り外した状態でのゴミ捨てをおすすめしたい。
家には抜け毛の多い猫がいるので、集じん容量が小さいコードレス掃除機で掃除をした場合、こまめにゴミ捨てをしなければすぐに一杯になってしまう。そのため、どんなに性能や機能が良いコードレス掃除機でも、ゴミの捨て方が面倒だったり、埃が舞い上がりやすいモデルは使う気が失せてしまう。
日立のスティック機はダストカップの中央に配置されている[黄色いキャップ]がバネの力でゴミをポンと押し出してくれるので、ゴミ捨ては手間もかからず簡単な部類だ。また、ダストカップがゴミ箱に収まるほど小さいことと、軽いゴミ(埃・猫の毛など)はダストカップ内で圧縮されるので、ゴミを捨てる際に埃も舞い上がりにくい。
フィルターのお手入れ方法は簡単なの?
PV-BEH800/PV-BEH900のフィルターは3つあり、ダストカップ上部に[クリーンフィルター][スポンジフィルター]、ダストカップの中央に[内筒フィルター]が配置されており、フィルターが目詰まりすると[フィルターのお手入れ表示ランプ]が点滅してお知らせしてくれる。
ダストカップ上部に配置されている[クリーンフィルター]と[スポンジフィルター]フィルターカバーを取り外すことにより取り出すことができ、[内筒フィルター]はくるりと回転させると取り外すことができる。
ダストカップの背面に[お手入れブラシ]が収納されており、お手入れブラシを使って目詰まりしやすい[クリーンフィルター]や[内筒フィルター]をお手入れすることができる。[スポンジフィルター]の汚れはブラシでは除去できないので水洗いする必要がある。
簡単に分解&組立ができ、すべて丸洗いできるから衛生的
ダストカップセットは[クリーンフィルター][スポンジフィルター][フィルターカバー][ダストカップ][内筒フィルター]5つのパーツで構成されている。ダストカップに組み付けられているすべてのパーツは水洗いすることができるので、衛生かつメンテナンス性も高い。
ダストカップセットも従来モデルに比べると簡単に分解できるように改良されており、説明書を見ずに分解して組み立てることができるようになった。従来モデルはフィルターカバーが[分割タイプ]になっていたため、フィルターカバーの向きを合わせて組み立てるのに一苦労した。新モデルのフタは炊飯器のようにダストカップに固定された状態で開閉できるので、組立時に戸惑うことが一切なくなった。
気になる排気の方向を変えられる[排気方向切替シャッター]
各メーカーのハンディタイプのスティックコードレス掃除機の口コミやレビューを見ていると、排気が顔や体に当たって気になっている人が散見される。個人的にもスティックタイプの状態で本体を持ち上げて掃除をしている際に排気が顔に当たったり、ハンディタイプの状態で家具や階段を掃除する際に排気が顔に当たるのが不快だったりする。
PV-BEH800/PV-BEH900は本体の横に排気口が配置されているため、立ちながらフロアを掃除している際に排気が体めがけて吹き上げることはない。また、排気方向を左右に切り替えられる[排気方向シャッター]が搭載されているので、ハンディクリーナーに切り換えて家具や階段を掃除しても顔や体に排気を当てることなく掃除ができるので安心だ。
PV-BEH800/PV-BEH900の付属アタッチメント
PV-BEH800/PV-BEH900の違いは付属品
毎年、新しく発売されるスティックコードレス掃除機には、「上位モデル」と「下位モデル」の2機種をラインアップする国内メーカーが多い。日立アプライアンスのスティック機も「上位モデル」と「下位モデル」の2機種を発売しており、どちらも本体とモーターヘッドの仕様は同じとなっているため、吸引力・使用時間・充電時間・重量といった基礎的なスペックも同等となる。それぞれの違いは”本体カラー”と”アタッチメント”の有無となるので、用途にあったアタッチメントが付属されているモデルを選ぶとよいだろう。
マルチすき間ブラシ(PV-BEH800/PV-BEH900)
●埃の溜まったサッシの溝(すき間&ブラシ)
●傷をつけたくない家具や家電(ブラシ)
●カーテンレールや棚といった高い場所(延長管orスマートホース)
ブラシノズルだけでなくすき間ノズルとしても使用できるアタッチメント。吸口は細くなっているうえ、柔らかいブラシが搭載されているので、狭いすき間や家具の上の掃除を傷つけずに掃除することができる。背面にある[長さ調整ボタン]をスライドさせれば、ブラシからすき間ノズルを押し出すことができ、サッシの溝に溜まったゴミや狭い場所に落ちている埃をサッと吸引することができる。[延長管]や[スマートホース]と組み合わせることにより高い場所の掃除も可能。
ミニパワーヘッド(PV-BEH800/PV-BEH900)
●車内のシートやマット
●ソファーや座椅子などの布製家具
ヘッドにモーターが搭載されており、モーター駆動でブラシを回転させゴミを掻き出すことができるアタッチメント。布団やベッドといった寝具などの掃除から、ソファーや車内シートのような布製品の掃除にも便利だ。回転ブラシが搭載されているので、埃のような微細なゴミだけでなく、ペットの抜け毛も集じんすることが可能。車内のような狭い場所では、スマートホースと組み合わせたほうが取り回しやすい。ヘッドが布に張り付いて掃除がしにくい場合は標準モードにするとよいだろう。
ほうきブラシ(PV-BEH900のみ)
●溝に汚れがこびりついたサッシ
●埃や汚れが付着した網戸
●埃が付着した家具や家電
●埃が付着しているコード周り
●エアコン・照明・カーテンレールなどの高い場所
先端に少し硬くて長めのナイロンブラシと中央にチューブ状の吸込口を搭載したアタッチメント。小物を吸い込まずにゴミだけを吸引することができるうえ、ホウキのようにゴミを掃きながら掃除ができるので、小物が収納されている引き出しの掃除だけでなく、床・家具・家電・サッシ・網戸に付着した埃の掃除も得意としている。延長管やスマートホースと組み合わせることにより、家具裏の狭い場所の掃除や照明やエアコンのような高い場所の掃除もできる。
ハードブラシ(PV-BEH900のみ)
●砂埃が付着した外壁
●砂埃が入り込んだ車内のフロアマット
ノズルの先端に硬くて腰の強いブラシが搭載されたアタッチメント。砂が落ちていたり、乾燥した泥汚れが付着した玄関の掃除に適している。いわゆる石畳・タイル・コンクリートのようなハードな床面の掃除を得意としており、傷がつきやすい家具や家電の掃除には適していない。延長管と組み合わせることにより外壁に付着した砂埃を掃除したり、スマートホースと組み合わせることで車内のフロアマットやシート下の掃除もできる。
スマートホース(PV-BEH900のみ)
●車内のような狭い場所の掃除がしたい
延長ホースを付属したコードレス掃除機は各社から販売されてきたが、日立のスマートホースはハンドル付きの延長ホースとなっている。通電構造になっているため、モーター駆動の床用パワーヘッドやミニモーターヘッドを装着して使用することも可能。延長管を装着することもできるので、空いている手で本体を楽な状態で持ちながら使用すると、手首に負荷をかけることなくフロア掃除ができる優れもの。また、スマートホースの先端にパワーヘッドや各種ノズルを装着して使用することにより、階段掃除から家具や布団も手首に負担をかけることなく掃除ができる。その他に取りまわしがよくなるメリットもあるので、自動車内のような狭い場所の掃除にも適している。スマトーホースの先端にはLEDライトが搭載されており暗い場所の掃除にも便利だ。
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